防災アプリ情報連携 デジタル庁 茨城・常総で実証実験へ
デジタル庁は、防災アプリに登録する被災者情報のデータ連携に関する実証実験を16日、茨城県常総市で実施する。氏名や連絡先など個人情報を行政機関やアプリ間で引き継ぎ、情報入力の手間削減や、アプリ経由での情報共有などを確認する。平将明デジタル相が4日の記者会見で発表した。
大規模災害に備え、避難から復興の各段階で一人一人に必要な支援を届ける狙い。同庁は災害時に住民が必要とする支援を迅速に提供するため、防災データの連携基盤の構築を進めており、2026年度以降の本格運用を目指す。
本年度は初期段階でのモデル構築と実証実験、技術や制度、運用の検討を進めている。実証実験には15年の大規模水害で被災し、積極的に防災の取り組みを行う同市が協力する。
実験では水害を想定し、同庁が開発したシステムに五つの防災アプリをつなげて内容を確認する。発災や避難時の行動を、データ連携基盤を活用する場合と活用しない場合とでシミュレートし、それぞれの行動への影響などを検証する。
機能の異なる複数の防災アプリを利用する場合、名前や住所などの個人情報の入力がアプリごとに必要になる。アプリ間で個人情報を引き継ぐシステムを導入することで、多重入力の解消や利用の効率化につなげる。
実験では、防災アプリ間のデータ連携に加え、マイナンバーカードを活用した個人情報の登録、認証や国の「新総合防災情報システム」との連携も検証する方針。
3月には東京都江東区でも実施する。同庁の担当者は「実証実験を通し、情報を何度も入力する負担軽減や一人一人の状況に応じたサービスを提供できる環境につなげていきたい」と話した。