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虹色の器 魅力迫る 「つくば焼」都賀さん陶芸展 独自技法の軌跡紹介 茨城・かすみがうら

虹色に光る「つくば焼」を紹介する企画展=かすみがうら市坂
虹色に光る「つくば焼」を紹介する企画展=かすみがうら市坂


独特の技法の「つくば焼」を考案した茨城県かすみがうら市(旧千代田町)出身の陶芸家、都賀俊雄さん(85)の創作を紹介する企画展が同市坂の市歴史博物館で開かれている。会場には虹色に輝く器をはじめ、誕生までの軌跡を紹介する資料約90点を展示した。同展は3月23日まで。

都賀さんは茨城大教育学部美術科で油絵を学ぶ傍ら、金属の加工・溶接などの技術を独学で学んでいた。卒業後、東京の自動車修理工場から熱心な勧誘もあったが教職の道に進み、約10年間、中学校で美術、技術、体育を教えた。

結婚後は、同県石岡市内の自宅裏に工房を構えて制作を始めた。陶芸家を目指したのは、美術教師としてさまざまな表現に取り組む中、時間の経過で退色してしまう絵画よりも「不変性」の高い陶芸に引かれたことが理由だったという。

郷里では常陸国分寺の屋根瓦などが作られていたことにちなみ、地元の粘土を使って現代の「千代田焼」を確立しようと奮闘したこともあった。唯一無二を求めて制作に没頭するうちに、真空状態で人工的にプラズマを生み出し、虹色を付ける技法を考案した。解体業者などを回って材料を集め、専用の窯も自作した。

今回の企画展では、つくば焼の作品のほか、父親の肖像画や都賀さんの学生時代の習作などを紹介。商品化に至らなかった千代田焼の試作品も展示している。都賀さんが特許を取得した「バキュームろくろ」などで作った独特の形状は、現在のつくば焼にも引き継がれている。

展示を企画した大久保隆史学芸員は「つくば焼はオーロラのように輝き、大きなエネルギーを感じる。見る角度によって変わる色合いを多くの人に見てもらいたい」と来場を呼びかけている。

月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は一般220円、小中学生110円。3月22日には大久保学芸員の講演会がある。



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