茨城県水道に栃木・野木町統合 広域連携事業 県域を越え初
![古河市と栃木県野木町が共有する思川浄水場=同県野木町野木](https://ibarakinews.jp/photo/17388498648211_photo1_001.jpg)
茨城県の広域水道事業に栃木県野木町が経営統合することが6日、分かった。野木町が同日、町議会で決めた。町はこれまで県境で隣接する茨城県古河市と浄水場や取水施設を共有してきた経緯があり、茨城県と協議を進めてきた。県は県内市町村と水道事業の連携を進めているが、県外の自治体と統合するのは初めて。関係者によると、県域を越えた水道事業の統合は全国的にも極めて珍しい。
野木町議会は同日、全員協議会を開き、茨城県の水道事業との経営統合に合意すると決めた。2月中にも茨城県と基本協定を結び、約3年以内の経営統合に向けて協議する。
県域をまたいで茨城県の広域水道事業に参加することについて、野木町は「施設の統廃合や更新、人材や技術力の確保、国の補助金の活用などのメリットが期待できる」としている。人口減少が加速する中、安定した水道サービスを維持していくため、町単独での経営より有利と判断した。
野木町は栃木県南部に位置し、2月1日現在の人口は2万4224人、面積は約30平方キロメートル。古河市と隣接し、幹線道路の国道4号線やJR宇都宮線を介して生活圏が重なっている。
町の主な水源は思川で、古河市と重なる。1974年から取水施設や「思川浄水場」を共有し、運営にかかる費用の約18%を負担している。町の南側の一部は古河市の水道事業の給水区域に含まれ、古河市から供給されている。
水道事業に関し、町は2023年秋、茨城県の広域水道連携に関する「検討・調整会議」に正式に参加。隣接する古河市と足並みを揃え、検討や調整を進めてきた。古河市は1月20日、すでに県の広域連携への参加を表明している。
古河市によると、思川浄水場は供用開始から約50年が経過し、今後更新する計画。更新に事業費233億円を見込んでいる。
県は25年度中に7割近くの市町村や水道企業団と合意を図る見通し。経営統合などによるソフト面の経費削減効果は50年間で約1070億円と試算している。人口減少が進む中、水の安定供給に経営健全化が必要とし、各市町村などが検討を進めている。