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住民、テレビから避難指示 茨城県システム実証実験 常陸太田、リモコン応答 名前呼び促す

原子力災害広域避難訓練で自宅のテレビに表示された常陸太田市の避難指示にリモコンで応答する益子烈さん=同市中染町
原子力災害広域避難訓練で自宅のテレビに表示された常陸太田市の避難指示にリモコンで応答する益子烈さん=同市中染町


茨城県常陸太田市の原子力災害広域避難訓練で8日、同県が災害時に活用を目指す「双方向情報伝達システム」の実証実験が行われた。各家庭のテレビを通じ、市町村が発令した避難指示や屋内退避の呼びかけに住民がリモコンで応答するシステムで、参加した住民は「(避難時の判断が)分かりやすい。名前で呼ばれ、避難意識が高まる」などと評価した。

広域避難訓練には国や県、警察など約200人のほか、同市の住民約370人が参加。このうち旧常陸太田、旧水府の両地区住民246人が、同システムを活用した実証実験による訓練を体験した。

システムは自然災害や原子力事故の際、自動的にテレビの電源が入り、画面と音声で情報を通知する。住民は「支援要請をする」「避難する」など、色分けした表示と同じ色のリモコンのボタンを押し、自らの状況や行動を伝える。

実証実験は同市の原子力災害広域避難訓練の一環で行われた。日本原子力発電東海第2原発(東海村)で事故が発生し、放射性物質が外部に漏れたと想定。旧水府地区では「避難指示」、旧常陸太田地区では「屋内退避」をそれぞれ発令した。

旧水府地区に当たる同市中染町の無職、益子烈さん(84)方では事故発生、屋内退避指示、避難指示の順に情報が30分間隔でテレビ画面に表示された。避難指示発令の際には音声も流れ、名前を呼んで避難を促した。

同地区の住民はバスや自家用車で大子町に避難。一時集合場所となった同市の水府総合センターと同町の避難先では、専用のICカードを使ったデジタル受け付けも取り入れ、名簿への書き込みを省略したり、県と市が避難状況の把握、共有を円滑化するなどした。

益子さんは「行政が見てくれていると感じられ、心強い。落ち着いて行動できる。操作も簡単」と感想を話した。他の参加者からも「防災無線より分かりやすい」との声が聞かれた。

県によると、一部で音声が出ない不具合があった。応答の受信率は9割で、残る1割はボタンの押し忘れやテレビの型が古いことなどが未受信の要因とみられる。県防災・危機管理部の渡辺輝夫企画室長は「来年度も訓練を通じて課題の把握と解消に努め、実用化を進めたい」と話した。

避難訓練の受け入れ先となった大子町では、同町立袋田小と大子中、県立大子清流高の各体育館を避難所として開設。同町職員が簡易テントやパイプベッドの設営のほか、避難者からの要望や困りごとを聞き取るなど、分担して対応に当たった。



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