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画僧・雪村 名作集う 茨城県立歴史館 15日開幕 33年ぶり大規模展

雪村の山水図びょうぶを解説する蔀政人学芸員=水戸市緑町
雪村の山水図びょうぶを解説する蔀政人学芸員=水戸市緑町


常陸国で生まれた戦国時代の画僧、雪村周継(せっそんしゅうけい)の特別展「雪村-常陸に生まれし遊歴の画僧-」が15日、茨城県水戸市緑町の県立歴史館で開幕する。同館での大規模展示は33年ぶり。佐竹家伝来の「風濤(ふうとう)図」や晩年に描いた「自画像」などが里帰りするほか、初公開の7件を含め、総勢約110件の名品が並ぶ。同館で14日、関係者約60人を集めてセレモニーが開かれた。

同館によると、雪村は15世紀末ごろ常陸国の部垂(現在の同県常陸大宮市)で佐竹氏の一族として生まれたとされる。幼くして出家し、太田(現在の同常陸太田市)の正宗寺などで画業の修練を重ね、東北の会津、関東では小田原、鎌倉で画才を磨いた。晩年は会津や三春(現在の福島県三春町)を往来しながら、多くの傑作を生み出した。

大胆でユニークな構図、自由で伸びやかな作風は、後世の絵師に大きな影響を与え、近代には岡倉天心(覚三)らによって「雪舟と並ぶ水墨画家」と称された。個性的でバラエティーに富む作品は、国内外で関心を集めている。

開館50年周記念と冠した本展は、「山水画」「人物・動物画」など七つの切り口で構成。暴風の海を進む帆船を描いた「風濤図」、ユーモラスな表情をした「布袋(ほてい)図」などのほか、雪村の影響を受けた江戸時代の尾形光琳らの作品も並ぶ。

また同館および東京芸大と米フリーア美術館が所属するスミソニアン協会の3者が、製作当初の状況を想定復元した「クローン文化財」「スーパークローン文化財」と呼ばれる作品も展示される。

同館の蔀政人学芸員は「戦国時代、関東の地を遊歴して独自の画境を築いた雪村。国内外で評価が高い名品の数々を楽しんでもらえれば」と呼びかける。

会期は4月6日まで。月曜休館。同館(電)029(225)4425。



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