備蓄米「適正化」に期待 茨城県内、安定供給へ要望も

高騰する米の価格を抑えるため、政府は備蓄米を全国で最大21万トン放出する。流通業者を経て3月下旬から4月上旬に店頭に並ぶ見通しだ。茨城県内では、消費者などからは価格が落ち着くことを期待する声が上がる一方で、農業者への影響や、安定供給に向けた政府への要望の声も上がった。
■「落ち着いて」
「チラシを見て安い時に購入している。以前の価格に戻ってくれればうれしい」。食品スーパー「セイブ食彩館千波店」(同県水戸市)で買い物をしていた、同市、60代女性はこう話した。
同店では割引率を引き上げるなど工夫して消費者が買いやすい値段にするが、前年比での1日当たりのコメ売り上げ数は減少しているという。石田裕典同店長(49)は「お客さまが手に取りやすいのはコメ5キロで3000円台前半のもの。(価格が)落ち着いてもらえたら」と期待する。
おむすび専門店「おむすびや八助」(同市)の磯崎純子代表(56)は、農家から直接仕入れるコメの価格について「半年前と比べて、今は約1.4倍に上がっている」と明かした。放出後は「適正な値段になれば」と願っている。
政府は初回分としてまず15万トンを放出する。入札を経て、3月半ばに集荷業者に引き渡す。県内の集荷団体は、2024年産米は前年比で7割程度の量の確保にとどまったことを挙げた。担当者は「備蓄米放出は適正価格にするため一定の効果はある」とみる一方、「コメの生産コストが上昇している。価格の変動は農業者へどう影響するか」と気をもんだ。
■乱高下に懸念
値崩れを防ぐため、原則1年以内に同量を買い戻すことが条件となっている。県内の米穀販売業者の担当者は「生産量は極端に増えることはない。返すお米はどうするのか。また、競争が激しくなってしまうのでは」と懸念する。
コメの生産から販売までを手がける、アグリ山崎(坂東市)の山崎正志社長(74)は「われわれ農家は、価格が乱高下するようなコメ作りをしたくない。適正価格で消費者に売れればいいと思っている」とし、「政府は、コメを安定供給できるような政策を打ち出さなければいけない」と提言した。