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《広角レンズ》貧困支援や居場所に 子ども食堂 茨城県内200カ所超 資金、食料確保悩みも

子ども食堂で親子丼を手渡す代表の堅野里桜さん(左)=1月20日、水戸市本町
子ども食堂で親子丼を手渡す代表の堅野里桜さん(左)=1月20日、水戸市本町


子どもたちに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」の数が本年度、茨城県内で200カ所を超えた。ボランティア活動として認知され裾野が広がり、経済的に困難を抱える家庭の支援や、地域の居場所づくりなど多様な役割を担っている。一方で資金、食料、人材などの不足に悩む運営団体も多い。

「ごちそうさま」「おいしかったよ」

1月20日の夕方、同県水戸市本町の旧喫茶店。親子丼を平らげた児童らの元気の良い声が響いた。

NPO法人「sakura」(さくら、同市)が、毎週月曜に子ども食堂を開店する。週替わりの料理を高校生から高齢者までのボランティア7~8人が、手分けして準備している。

子どもは無料。限定40食はほぼなくなる。「毎回楽しみ。友達と遊ぶことや大人と会話する機会が増えた」。半年以上利用している小学生の1人は、うれしそうに話した。

2020年10月、コロナ禍の感染対策を踏まえ、持ち帰り専門として開店。1年程前に移転し、会食形式にした。「外で安心して遊べる場所が減った。子どもの居場所、地域のコミュニティーづくりに役立てたい」。食堂代表の堅野里桜さん(30)は語る。


県などによると、県内の子ども食堂の数は24年12月時点で237カ所。活動が認知され始めた18年度は19カ所だったが、毎年度20~40カ所程増えていき、6年で12.5倍に拡大した。

県内で約9割の自治体に広がった。昨年11月時点で、つくば市25カ所、水戸市23カ所など都市部に集中。目的別では、居場所づくりや人のつながり、多世代交流などに軸を置き、月1回など定期的に開く「地域共生型」が8割。貧困対策などを中心に週に複数回行う「常設型」もある。

大人の代わりに家事や家族の世話をする「ヤングケアラー」の居場所になったケースや、利用者の困窮などを知り、行政の支援につなげたケースなどもあるという。


県事業の「子ども食堂サポートセンターいばらき」を担う茨城NPOセンター・コモンズ(同市)の大野覚事務局長は、運営には「人、物、金、(これらを得る)情報が重要」と強調する。多くは食品の寄付が集まるフードバンクの活用や農家の協力、財団への助成金申請などの工夫で継続を目指している。

支援する財団やNPOなどが増える一方で、子ども食堂の拡大に追い付いておらず、物価高の影響で「寄付量が減ってきている」とも指摘。企業などと接点をつくり「供給を増やす取り組みが大切」と語る。

同センターでは、運営や立ち上げの相談支援などを行ってきた。19年7月の設置から相談件数は年々伸び、23年度は165件。県青少年家庭課の担当者は「センターを通じ、各地域の子ども食堂の相互連携を強化していく。情報交換による円滑運営、食材の融通などにつながれば」と展望した。



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