「公務外」認定取り消し 茨城・ 龍ケ崎消防署 訓練後死亡の署員 因果関係認める 東京地裁判決

龍ケ崎消防署員の宮本竜徳さん=当時(25)=が勤務時間中の訓練後に死亡したのを公務災害と認めないのは違法として、遺族が地方公務員災害補償基金(東京都)に「公務外」認定の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、基金側に処分の取り消しを命じた。「アスリート並みの運動強度」を伴う訓練で、死亡と因果関係があると判断した。
判決では、宮本さんが行っていた訓練は「一般人の日常生活で行う運動強度をかなり上回るアスリート並みの運動強度」と指摘。死亡後の検査で宮本さんの心臓には不整脈原性右室心筋症の基礎疾患が確認されており、「致死性不整脈の発病は、公務に内在する危険が現実化したもので、公務との間に相当因果関係があると認めるのが相当」と結論付けた。
基金側が「日常業務と比べて特に過重な職務に従事したこと」を公務災害の認定基準としていると主張した点については、本件のような強い負荷を伴う業務が日常業務だとしても一律に公務起因性を否定されるわけではないと退けた。
判決によると、宮本さんは高度救助隊員として勤務。2013年から週に3~4回程度、約20キロの重りを両手で持って頭の後ろで上げ下げしたり、約33メートルのロープを両手で素早く引く訓練に従事していた。17年11月、訓練中に突然倒れて救急搬送され、翌日に致死性不整脈で亡くなった。
遺族の公務災害認定請求に対し、基金の茨城県支部長は18年8月、公務外と認定。遺族は同支部審査会に審査請求したが、23年3月、日常業務と比べて特に過重な職務に従事したとは認められないなどとして棄却された。遺族側は同年10月に提訴した。
判決後の会見で、宮本さんの父洋治さん(70)は「この判決を勝ち取れたことを素直に喜びたい」と語った。母藤子さん(57)は「今を生きる消防士たちのために、この勝訴が基金の(公務災害)認定基準の改定に生かされれば」と期待した。
基金の担当者は「判決の内容を精査し、今後の対応を検討したい」と述べた。