次の記事:茶の木村園 破産申請へ 負債約1億6000万円 茨城 

日立特産茂宮かぼちゃ 担い手第一歩 遊休地で栽培へ 塾卒業生10人、研究会入り 茨城

3期目を迎えた茂宮かぼちゃ塾の開講式=8日、日立市大和田町
3期目を迎えた茂宮かぼちゃ塾の開講式=8日、日立市大和田町


茨城県日立市茂宮地区の特産カボチャの栽培ノウハウを伝える「茂宮かぼちゃ塾」を卒業した1期生10人が、地元の生産者でつくる「茂宮特産物研究会」(大貫一明会長)への入会を認められた。今季から会員として、市の地域ブランド認定品のカボチャを出荷できる。高齢化が進む産地で新たな担い手を育成する試みが実を結んだ。

茂宮かぼちゃは、西洋カボチャの「錦芳香」を有機肥料やミツバチ交配などで丁寧に育て、甘みとホクホクとした食感が特長。だが高齢化で生産農家は19軒と減少傾向にあり、2009年度に1000万円以上あった販売額(市場出荷分)は近年二、三百万円まで減るなど担い手確保が課題になっていた。

このため、特産品を後世に継承する仕組みとして市は2023年春にかぼちゃ塾を開講した。就農を希望する市民を募り、運営を担う研究会のメンバーが農業指導のほか、苗や資材の準備、ほ場の維持管理などを担ってきた。

塾生たちは研究会員の手ほどきを受けながらマルチ張りやトンネル作り、定植、わら敷きなどの作業を学び、収穫後は販売会も体験。塾のほ場以外にも自ら農地を借りて栽培に取り組んできた。

1期生のうち10人はカボチャ作りの継続を希望し、1月末の研究会総会で入会が正式に承認された。同会員は29人に増える。1期生の鈴木啓二さん(48)は「先輩たちが築き上げたブランドに傷を付けることなく、茂宮かぼちゃの発展に貢献していきたい」と意気込む。

会社員の家庭で育ったという鈴木さん。塾で2年間基本を学び、時に強風による被害などの苦難も味わったが「収穫時期には喜びも大きく、より一層カボチャ作りにのめり込んでいった」といい、将来的に専業農家を見据える。

新規入会した10人は今後、引き続き先輩農家のサポートを受けながら茂宮町内の遊休地を借りてカボチャ作りに励む。作付面積は1人当たり5~20アール程度。市によると、1期生や現役塾生による今季の作付面積は約1万2千平方メートルとなり、前年から倍増する見込みだ。

8日には3期目の塾開講式が同市大和田町のJA常陸みなみ支店で開かれた。新たに6人が仲間入りし、今年は2期生を含めた計9人の塾生がカボチャ栽培を学ぶ。研究会メンバーで塾代表の宮田秋文さん(71)は「粘土質の土壌に頭を悩ませることもあると思うが、本気で農業をやっていこうとする方を支援していきたい」と話した。



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース