茨城県産技学院 2校に集約 28年4月 水戸・土浦、機能強化へ

茨城県内5カ所にある県立産業技術専門学院について、県は2028年4月から、水戸校(水戸市)と土浦校(土浦市)の2校に集約、再編する。デジタル化に対応した技能者の育成や、在職者のリスキリング支援など、ものづくり人材の育成拠点として機能強化を図る。交通アクセスの良さなども考慮した。日立市と鹿嶋市、筑西市の3校は閉校する。定員の充足率低迷などが理由。県が19日発表した。
水戸校は現在、自動車整備科、建築システム科、電気工事科の3科を設置している。再編後は、閉校する3校の製造系の訓練科を水戸校に集約し、同校に実習棟も新設する。県は新年度以降、設計・建設を進める。最新設備を導入し、デジタル技術など高度なスキル習得を推進するという。
また、離職者や転職者、女性を含めた幅広い層のニーズに応じるため、分野を横断したコース設定などを検討。在職者向けに、指導員が企業に出向いて「オーダーメード訓練」などを実施し、リスキリング機能を強化する。イメージ刷新を図るため、校名変更も視野に入れる。
同校の酒井雄一学院長は「分野を横断したカリキュラムなどで、より企業ニーズを踏まえた人材育成ができる」と期待込めた。
土浦校は現在、機械技術科、自動車整備科、コンピュータ制御科、ITシステム科の4科がある。再編後は、製造系の機械技術科を水戸校に集約し、残る3科での運営となる。
再編に先駆け、5校は今年4月から、一部カリキュラムを刷新する。従来の内容に、機械工学と電子工学を組み合わせたメカトロニクスや、電気で機械を制御するシーケンス制御といったデジタル技術の訓練を加える。入学時期も4月と10月の年2回に増やす。3校の跡地利用は今後、関係機関と調整するという。
昨年11月、産業界や教育機関の学識者でつくる「県立産業技術専門学院のあり方検討会」が報告書をまとめ、水戸と土浦の2学院への集約、再編などを提言。県はこれを受けて、昨年末から関係者向けに説明会を実施し、意見を踏まえつつ再編の方針を固めた。