デブリ2ミリ 断面に光沢 大洗で初公開「分析さらに」 原子力機構 茨城

日本原子力研究開発機構は20日、大洗原子力工学研究所(茨城県大洗町成田町)で分析が進む福島第1原発の溶融核燃料(デブリ)を報道陣に初めて公開した。デブリを砕いてできた塊と粒のうち、公開された中で最も大きい長さ2ミリの塊の断面には光沢が確認できた。機構は半年から1年程度をかけて詳細な分析を行う方針。
デブリは昨年11月、同原発2号機から試験採取され、同研究所で分析を開始。3段階で行われる分析のうち、コンピューター断層撮影(CT)などを用いて表面を調べる「非破壊分析」が同12月に終了した。その後、全長約9ミリ、重さ約0.7グラムのデブリを砕き、県内外の計5カ所の分析機関に分配した。
同日は、同研究所内の照射燃料集合体試験施設(FMF)で、放射線を遮断した部屋内に保管中の透明な容器に入った大きさ約2ミリの塊や微少な粒のデブリを公開。マニュピレーターで容器ごとつかんで見せたデブリの塊は光沢があった。
機構は「デブリ内部は事故時の状態が保存されている」として、断面の元素を電子顕微鏡で観察する「固体分析」に着手。デブリの光沢は金属の含有を表す可能性もあり、詳細を明らかにするという。その後、デブリを溶かして元素や核種の量を調べ、福島原発からデブリを安全に取り出す方法を探るのに必要な情報を得る「化学分析」を行う。
FMFでは同日、固体分析で元素や同位体の濃度を測定する装置「SIMS」と、化学分析で試料を作る装置「グローブボックス」も、合わせて公開された。
同機構廃炉環境国際共同センターの荻野英樹技術主席は「これまでにウランが含まれることが分かり、分析も順調に進んでいる」とし「取り出しの手法を確立していきたい」と話した。これまでの分析で、デブリからは核燃料物質のウランや原子炉の構造材料である鉄やニッケル、核燃料を覆う管の材料のジルコニウムが検出されている。