次の記事:茶の木村園 破産申請へ 負債約1億6000万円 茨城 

茨城・日立6人殺害 死刑確定へ 最高裁、上告を棄却

土肥博文被告に上告審判決が言い渡された最高裁第2小法廷=21日、東京都千代田区
土肥博文被告に上告審判決が言い渡された最高裁第2小法廷=21日、東京都千代田区


2017年10月に茨城県日立市の自宅で妻子6人を殺害したとして、殺人などの罪に問われた無職、土肥(旧姓小松)博文被告(40)の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は21日、被告の上告を棄却した。一、二審の死刑判決が確定する。弁護側は事件当時の記憶が喪失していて訴訟能力がないと主張していた。

裁判官4人全員一致の結論。土肥被告は起訴後に心不全などで倒れ、後遺症で事件当時の記憶を失っており、弁護側は「訴訟能力が認められない」として公訴棄却を求めていた。検察側は上告の棄却を求めていた。

最高裁は、弁護側が「心神喪失状態で訴訟能力が回復していないため、公判手続きを停止するべき」などと主張した上告趣意は、単なる法令違反や事実誤認、量刑不当の主張であり、上告理由に当たらないと判断した。被告の訴訟能力の有無については踏み込まなかった。

判決理由で草野裁判長は、「6人の命を奪ったという結果は極めて重大」と指摘。それぞれ包丁で数回突き刺したのは強固な殺意に基づき残虐だとし、「人命軽視の態度が甚だしい」と述べた。

土肥被告は、妻から離婚を切り出されたのを機に、妻子らを殺害して自殺することを考え、柳刃包丁を購入。離婚や別居の開始が予定されていた同日の早朝、犯行に及んだとした。草野裁判長は「事前の準備に基づく犯行という側面がある」と評価した。

妻が懇意にしている男性に妻子らを取られたくないと考え、妻を殺害後に残された子らの将来を悲観して殺害したとする動機について「身勝手で酌むべきものとはいえない」と結論づけた。放火後に自首したことなどを考慮しても、死刑とした一審判決はやむを得ないとした。

21年の一審水戸地裁判決は「被告人は意思疎通を図ることが十分可能であり、訴訟能力があることは明らか」とし、結果の重大性や悪質性を踏まえて死刑にすべきだと判断。23年の二審東京高裁判決も支持した。

★日立妻子6人殺害事件

2017年10月6日午前4時40分ごろ、土肥博文被告が自宅内で、妻の恵さん(33)、養女(11)、長男(7)、二男(5)、三男(3)、四男(3)=年齢はいずれも当時=を包丁で複数回刺した上、玄関付近にガソリンをまいて放火し、殺害した。被告は日立署に出頭し、逮捕された。



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース