大煙突フェスにぎわう 手作り「鉱山電車」も 茨城・日立

茨城県日立市のシンボルの大煙突とサクラの歴史を語り継ごうと、同市白銀町の旧共楽館(日立武道館)などで23日、「ひたち大煙突フェスティバル」が開かれた。約3000人の来場者でにぎわい、会場では大煙突と日立駅の間を走っていた「鉱山電車」を手作りで再現したり、児童による絵本の読み聞かせをしたりして、郷土の歴史を伝えた。
大煙突は旧日立鉱山から出る煙害を防ぐため、1914年に建設された。周辺には荒廃した自然環境を回復させるため大量のサクラが植樹された。煙突は93年2月19日に倒壊し、3分の1ほどの高さになった。フェスは「大煙突とさくら100年プロジェクト」が主催し、今年で3回目。
同館周辺の通りは歩行者天国となり、茶箱を使った手作りの鉱山電車も人力で運行した。同電車は08年に開通し、鉱石や人を運ぶのに活躍したが、自動車の普及で60年に廃線となった。手作り電車は小さな子どもたちを乗せると、ボランティアらの手で引かれ来場者の目を引いた。会場内では同電車の写真パネルなども展示、当時を振り返った。
同プロジェクトが新たに発行した絵本「大煙突とさくらのまち」の市への贈呈式もあった。鉱山の煙害を克服したまちの歴史を伝える内容で、市立仲町小の児童による読み聞かせも行われた。同プロジェクトの福地伸副代表(74)は「共存共栄の精神でこの町ができてきた。その精神をつないでいきたい」と語った。