長塚節文学賞 短編小説大賞に本田さん 短歌 村崎さん、俳句 甲斐さん 常総で表彰式 茨城
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第27回長塚節文学賞の受賞者が決まり、茨城県常総市新石下の市地域交流センターで23日、表彰式が開かれた。短編小説部門の大賞は富山県魚津市の本田雅俊さん、短歌部門は千葉県千葉市の村崎絹代さん、俳句部門は東京都江東区の甲斐瑠璃子さんがそれぞれ大賞を受賞。入選者に表彰状が贈られた。
同文学賞は、現在の常総市出身の歌人・小説家、長塚節(1879~1915年)を顕彰しようと同市と節のふるさと文化づくり協議会が開催。本年度は短編小説部門158点、短歌部門5821点、俳句部門8049点の計1万4028点が全国から寄せられた。
短編小説の大賞に選ばれた本田さんの作品「市松人形」は、材木商の祖父母のもとで育った女性を軸に描く人情味あふれる時代小説。本田さんは普段、政治・行政アナリストとして活動。小説を初めて書いたのは8年前という。今作については、「日本的な美しい人間関係を作品の中で伝えたかった」と述べた。
村崎さんの受賞作「幼き日被爆せし夫の傍にゐて十一時二分われ黙祷す」は、長崎原爆をテーマにした短歌。「毎回応募しており、大賞は初めて。これからも短歌を作っていきたい」と意欲を語った。
甲斐さんの大賞句は「常総の土やはらかく竹の秋」。数年前、長塚節生家を訪れた時に目にした風景を題材にしたといい、「受賞は今後の創作活動の励みになる」と笑顔で話していた。
市は入選作を収録した作品集を刊行している。
大賞を除く各部門の優秀賞受賞者は次の通り。(敬称略)
▽短編小説 河田充恵(山形市)見坂卓郎(神奈川県川崎市)
▽短歌 安田恭子(千葉県市川市)黒沢孝子(常総市)角田好弘(山梨県笛吹市)萩原瑞葵(群馬県高崎市)野口英二(土浦市)
▽俳句 鈴木せつこ(横浜市)相沢正志斎(水戸市)大久保朝一(筑西市)青木茂治(水戸市)黒岩禮子(牛久市)