岩手山火事 「小さな火も見逃さず」 派遣の茨城県大隊4人会見


岩手県大船渡市の大規模山林火災で、緊急消防救助隊の茨城県大隊として同市三陸町綾里(りょうり)地区で消火活動に当たった第1次派遣隊のうち、県大隊長を務めた久保田充さん(57)=水戸市消防局=ら4人が4日、同市役所で会見した。同消防局によると、今回の派遣は約170人と過去最大規模。4人は県大隊の要となる指揮隊を担い、「出動隊員全てが『絶対に終わらせる』との気持ちだった」「後続に『小さな火も見逃さず』と伝えた」と一丸となった活動を語った。
第1次隊の44隊178人は2月27日午前、消防庁の派遣要請を受け、同県北茨城市の常磐道中郷サービスエリアから出発。3月2日まで活動した。県によると、茨城県の緊急消防援助隊の派遣は、2021年7月の静岡県熱海市での大規模土石流発生以来で、当時の約3倍の規模となった。
久保田さんによると、現着は深夜となり、「燃えている所がオレンジ色でよく分かった」。火が山の尾根に沿って、帯のように何百メートルにわたって延びていた。
県大隊は、他県の隊と8時間交代で昼夜にわたって任務に当たった。現場では川の水を取って放水。道路は狭く、消防車の運行ルートにも配慮した。無線がつながらず、口頭で現場へ伝令することもあった。岡田大介さん(37)は「初めての現場で、地理に不慣れ。注水場所まで考えて対応した」と振り返った。
現地での作戦伝達を担当した木村和哉さん(47)は「風が大変だった」と語る。「残り火がないようにすることが一番大切と思った」と力を込めた。
情報伝達を担った畠山貴之さん(34)は大隊の規模に触れ「大きくなるほど誤った情報を伝える恐れもある。端的に、簡潔にと工夫した」と語った。
平成以降では国内最大の林野火災。40年近いベテランの久保田さんでも未経験の規模といい、「一日も早く元の生活に戻ってほしいと思った」と被災者を思いやった。
現地では4日も第2次の43隊177人が活動中。5日には同規模の第3次派遣隊へ引き継がれる。