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つくば駅前の最大跡地売却 公務員宿舎 活性化へ期待 茨城

不動産業者に売却が決まった国家公務員宿舎跡地=つくば市吾妻
不動産業者に売却が決まった国家公務員宿舎跡地=つくば市吾妻
売却予定地
売却予定地


茨城県つくば市内で最大規模の国家公務員宿舎跡地が不動産業者に売却されることが6日、分かった。財務省水戸財務事務所が明らかにした。同市の人口は増加傾向にあり、駅前の好立地でマンションなど住宅としての活用が見込まれている。契約金額は約102億円に上る。宿舎は長年、空き家状態だったため、周辺住民からは地域活性への期待の声が聞かれる。

売却される跡地はつくばエクスプレス(TX)つくば駅から徒歩5~10分圏内にある同市吾妻2丁目の宅地約3.3ヘクタール。宿舎は1978年ごろ建設され、敷地内に11棟の計228戸がある。同事務所によると、老朽化により徐々に職員やその家族が退去。約8年前から、完全空き家となっていた。

売却先は一般競争入札で決められた。不動産業者3社の応募があり、1月24日に開札され決まった。契約日は2月21日付。代金が納入されれば、敷地の所有権は3月中に、財務省から契約した業者へと移る見込みという。

国立の研究機関の移転を促進する筑波研究学園都市建設法が1970年に施行。市内の国家公務員宿舎は71年ごろから、地域に転入した研究者らの住居として建て始められた。これまでに計790棟、計7755戸が建設された。

だが、建物の老朽化が進み、通勤を可能にするTXの開業などの影響もあって、入居率は低下。国は2005年、国家公務員宿舎の削減を開始した。25年2月末時点で、宿舎の約7割が不動産業者やデベロッパーに売却済みという。これまでに売却された跡地ではマンションや戸建て住宅が建設されている。

同事務所によると、25年度に同市吾妻地区の跡地計2カ所で計5.3ヘクタールを売却する予定。ほかにも、同市松代地区1カ所約2ヘクタールの売却の方針が決定している。

市は良好な住宅市街地の形成を図るため、地区計画を定めている。今回売却される跡地には「吾妻第三地区地区計画」があり、土地の利用方針や建物の高さ、用途などが細かく定められている。今後、同所に新築される建物は、商業施設でなく住宅関連になるとみられている。建物の外観も、市景観条例に基づき、落ち着いた色合いになることが見込まれている。

跡地売却について、子ども2人を連れて付近を散歩していた30代の主婦は「敷地内の枝が伸び放題になっていた。廃墟のままより、使ってもらった方がよい」と話した。市学園地区市街地振興課の渋谷亘課長(50)は「順調に計画が進んでいる。周辺住民の安心につながる」と語った。

市などと連携し、跡地の売却を進めてきた水戸財務事務所の鈴木博所長は「(落札業者の開発で)地域により一層のまちづくりに貢献していただけたらうれしい」と期待を込めた。



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