《国際女性デー2025》賃金格差、茨城県46位 建設業、改善へ懸命

2025年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で、茨城県は経済分野の「フルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差の指数」が0.721で、46位と低迷した。指数は「1」に近いほど平等を示しており、茨城県の男女間賃金格差が際立つ結果となった。中でも、格差の大きい県内の建設業では、環境改善に向けた取り組みが始まっている。
県建設業協会は女性部会「建女ひばり会」を発足。女性労働力の確保や女性技術者の情報共有、女性が働くための問題点の抽出などを狙いに、意見交換会や勉強会などを実施し、成果を上げつつある。同会はジェンダーギャップを埋めるべく、「建設業界での女性活躍に向け、積極的に活動を展開したい」と強調する。
同県牛久市さくら台の桂建設(従業員30人)は建女ひばり会の活動に参加し、女性の活躍に向けた環境改善に取り組んでいる。同社ではこれまで、女性が入社しても長続きしない傾向があった。同会の活動を通し、他社の好事例からヒントを得て環境改善を進めた。
同社は仕事と育児を両立する特別休暇を取得できるよう体制を整備。22年に子育てをサポートする企業として、厚生労働省の「くるみん認定」を県内建設業界で初めて取得した。
これまで現場監督が担当していた工事書類作成業務の一部を担い、オフィスから現場を支援する職種「建設ディレクター」の導入を進めている。建設業での女性活躍が期待できるとともに、仕事の分業化による働き方改革の面からも注目されている。
同社は現在、女性社員2人が建設ディレクターを務める。工事書類の作成に加え、三次元測量や情報通信技術(ICT)を導入した建機など、最新の技術も学んでいる。21年に入社した相崎里緒さん(28)は「まだ何かができるようになったという実感はないが、新しいことを学んでいて楽しい」と意欲を示した。
建女ひばり会は2019年にスタート。同会副会長で同社社長の石井高子さん(70)は「建設業で女性は活躍できる。新たな職種や働き方を広めることで、これから建設業に入る女性たちの指針になればいい」と話した。
賃金格差に影響がある要素として、県労働政策課は平均勤続年数の男女差、管理職に占める女性の割合、性別役割意識の強さなどが関係すると指摘する。
24年9月開催の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」の資料によると、茨城県は勤続年数の男女差で44位、女性管理職の割合で41位、性別役割意識で42位となっている。
23年賃金構造基本統計調査でも、イオ原木県の産業別の賃金格差は金融業・保険業、建設業、卸売業・小売業などで格差が大きい結果となった。特に建設業は男性を100%とした場合、全国が73.5%であるのに対し、茨城県の賃金格差は64.0%と大きな開きがある。