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慢性腎臓病予防へ啓発 つくばの財団 出にくい自覚症状 「早期の発見・治療を」 茨城

人工透析装置の前で機械の説明をする筑波大の山縣邦弘教授=つくば市天久保
人工透析装置の前で機械の説明をする筑波大の山縣邦弘教授=つくば市天久保


毎年3月第2木曜日の「世界腎臓デー」(13日)に関連し、公益財団法人いばらき腎臓財団(茨城県つくば市)は慢性腎臓病(CKD)への注意を呼びかけている。沈黙の臓器といわれる腎臓は、機能が低下した初期段階では自覚症状が出にくいとされる。CKDが進行して末期腎不全になると、腎臓の働きを人工的に補う透析治療が必要になる場合がある。同財団は早期の発見・治療や予防を訴える。

福祉施設で働く同県常総市の男性(52)は2015年から透析治療を受けている。つくば市のクリニックに週3日通い、4時間ほどかけて全身の血液をきれいにする。透析導入患者の原疾患は糖尿病からの合併症が全体の約4割を占めるが、男性の場合は急激に腎機能が悪化する「急性腎不全」。09年に発症した。

「痛みがなく、急に足が象のようにむくみ、病院へ行くと集中治療室へ運ばれた。後日、医者から『命が危険な状態だった』と告げられ驚いた」と振り返る。

2カ月間の入院を経て機能の一部は回復したが、末期腎不全となり透析治療に切り替えた。男性は「元々血圧が高かった。腎臓病を防ぐには健康診断を毎年受け、指摘されたことに向き合うこと」と切実に話す。

腎臓は体内の血液をろ過し、取り除いた老廃物を尿と一緒に排せつする臓器。尿の中のタンパク量と血液中のクレアチニン(老廃物)の値を調べ、悪い状態が3カ月以上続くとCKDと診断される。

CKDは高血圧や高血糖などをきたす悪い生活習慣が関係する。国内の患者数は約1480万人とされ、日本透析医学会によると、透析患者は23年末で34万3508人。03年末に比べて約1.4倍に増え、新規の透析患者を減らすことは課題となっている。

いばらき腎臓財団は筑波大付属病院に事務局を置き、自治体向けなどに出前講座を実施している。CKD予防について同病院の北久保佳織栄養管理室長は減塩が重要とし、「規則正しい生活習慣は血圧の安定にもつながる」と語る。

CKDになった場合は腎機能の悪化を遅らせ、残された機能を守る努力が欠かせない。財団理事長で同大医学医療系の山縣邦弘教授は「適度な運動で体力をつけておけば、透析に入っても普通に社会活動できる割合が高まる」と指摘。65歳未満の透析患者の約6割は無症状で社会活動を送っているといい、「財団としては引き続き腎臓の大切さを訴えていきたい」と話している。



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