水戸・笠間市境 候補地に 茨城県中央病院・こども病院統合 水戸IC近く

茨城県立中央病院(同県笠間市)と県立こども病院(同県水戸市)の統合計画を進める県は12日、新たな拠点病院の候補地を笠間市小原と水戸市三湯町にまたがる民有地エリアに決めたと発表した。常磐自動車道水戸インターチェンジ(IC)の約4キロ西方で、両病院から5キロ前後の距離。利用者の利便性や救急搬送時のアクセスに考慮した。今後、用地交渉に着手し、2~3年以内の取得を目指す。
県が同日、県庁で記者会見を開いて明らかにした。県病院局経営管理課によると、候補地周辺で少なくとも10ヘクタール、最大で15ヘクタールの確保を予定する。主に山林で住宅地なども含み、最大で60筆、地権者100人程度を見込む。
候補地は国道50号の南側、JR常磐線内原駅から西へ約1.1キロの地点で、浸水想定区域外。両病院からの直線距離は、中央病院が2.9キロ、こども病院が5.8キロ。
2月に地元の医療機関や自治体、医師会などで構成する「水戸地域医療構想調整会議」で、大筋で了解を得ていた。両病院は所在市の住民の利用が多いことなどから、両市とも市外へ移転しないよう求めており、これも踏まえて選定した。3月に入り、両市が了承したという。
土地の状況調査で面積や所有者などが特定できたため、公表した。現時点で用地交渉は未着手で、新年度にまとめる基本構想の検討と並行して進め、10年以内の開院を目指す。
会見で同課の丹茂樹課長は「(地権者から)理解が得られるよう両市と協力し、取得に至るよう努力したい」と話した。
人口減少や少子高齢化が進み、医療資源の集約化などが求められる中、県は今回の統合を水戸保健医療圏の県立・公的6病院再編の一歩に位置付けている。
新たな拠点病院では高度急性期医療のほか、地域の高度医療の機能分担として両病院の強みを生かし、「がん」や「小児」「周産期」の各医療を提供。将来にわたり県央・県北地域を担う医療提供体制の維持や強化につなげる。
病院候補地が決まったことについて、中央病院が立地する笠間市の山口伸樹市長は同日、取材に「現在地から3キロほどと遠くはないので、市民にも納得してもらえるのではないか」と述べ、「中央病院と市立の病院や医療機関との間で構築されてきた連携関係が、移転後も維持されるよう県に働きかける」と語った。
こども病院がある水戸市の高橋靖市長は「命に直結する医療機能を支えるという観点、交通アクセス、既存の利用者の利便性に配慮された。県や周辺市町村と緊密に連携しながら、持続的・安定的な医療提供体制の構築を目指したい」とのコメントを出した。