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「つくば特区」終了へ 25年度末 目標達成や予算減 茨城



茨城県は13日、最先端科学技術を生かして新産業創出を目指す「つくば国際戦略総合特区」について、2025年度末で終了すると明らかにした。特区でのプロジェクトが一定の成果を上げたことや、国の予算縮小を要因に挙げた。今後は県の施設などを活用し、成果の実用化・事業化を支援する。同日の県議会防災環境産業委員会で報告した。

「国際戦略総合特区」は2011年に国が始めた制度で、規制緩和や財政・税制面などでの支援措置を受けられる。

「つくば特区」は同年9月、県と同県つくば市、筑波大の3者で申請し、同年12月に指定を受けた。これまで2度の延長申請を行い、現在は3期目(21年度~25年度)に当たる。

同特区は、次世代がん治療や生活支援ロボット、藻類バイオマスエネルギーの実用化など四つの先導的プロジェクトから始まった。13年に三つ、15、17年にそれぞれ一つずつ加わり、計九つのプロジェクトで構成されている。

県によると、このうち七つで目標を達成。サイバーダイン(同市)が開発したロボット医療機器「ハル」の国内外での実用化や、血圧上昇を抑える成分GABA(ギャバ)を多く含むトマトの販売などが実現した。残り二つについても治験の開始や、関連製品の発売など一定の進捗(しんちょく)が見られたと判断した。

一方、制度開始から10年以上経過し、国の予算は大幅に縮小した。同特区への配分は17年度の1.4億円を最後に、ゼロが続いている。類似の制度が創設されたことも要因とされる。開始当初、全国7地域が指定を受け、すでに「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」は22年に解除されている。

指定当初、研究機関が集積する同市では、研究成果の産業化が大きな課題だった。同市科学技術戦略課は「(特区指定により)市内における産学官の連携や研究シーズの産業化が進み、各プロジェクトはほぼ目的を達成した。特区の役割は実質的に終えたといえる」と評価する。

県科学技術振興課の小貫智也課長は「各プロジェクトとも成果が出ており、次のステージに向かうためのひと区切り。今後もそれぞれに応じた支援をしていく」と話した。

3者は来月、国の調査で指定解除の意向を示す。26年1月に申請し、3月に決定する見込み。



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