東海第2 相次ぐ火災「信頼失う」 2年半で11件 茨城

日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)で火災が相次いでいる。2022年9月以降に11件が集中し、今年2月には原発の要の中央制御室で発生した。村議会は14日、全員協議会(全協)を開き、原電担当者から、調査状況などを聴取した。県や村は人的ミスとみて「県民の信頼を根幹から揺るがす」「深刻な案件」と、原電の防火意識の低さを厳しく批判。山田修村長は出火原因の対応次第で「再稼働にも影響が出る」と指摘するなど、地元の安全への懸念は強まっている。
この日の全協では、議員側からは、火災が頻発する現状に「火災のたびに取ってきた対策の効果はあったのか」「頻発する根本的な理由は何か」など、原電の対応を厳しく問う声が相次いだ。原因の徹底的な究明や再発防止を求めるとともに、住民への丁寧な説明を求める声も出た。
原電の担当者は「多大な心配をおかけし、お詫びする」とした上で、「社を挙げて、今まで取り組んできた改善策で何が不足しているか検証し、さらなる安全管理を徹底するための措置も検討する」と述べた。
2月4日、東海第2の中央制御室で、制御盤からこぶし大の炎と煙が出たのを原電社員が発見、消火器で消した。制御盤の内部に高さ約10センチ、幅約30センチ、奥行き約15センチの範囲で焦げ跡ができ、黒いすすが付いた。
制御盤は原発運転時、管理区域内にある中性子線の量や分布を計測するセンサー(中性子検出器)を動かす装置を管理するもの。原電は出火当時、制御盤の弁の作動試験を行っていた。
出火原因について原電は作動試験の際、交換したヒューズの通電時間が長すぎたため、制御盤の抵抗器に発熱が生じたと推測する。村松衛社長は、事前の点検手順の確認不足や社員間の引き継ぎ不足などがあった可能性もあるとした。
東海第2では2011年7月、廃棄物処理建屋で低レベル放射性廃棄物を溶かす作業中に火災が発生。同12月にはケーブルが焦げ、14年12月には溶接作業で生じた火種が落ちて給気フィルターが燃えた。
22年9月以降は屋外に設置した変圧器が出火したのを皮切りに、同年に2件、23年に5件、24年に3件と相次いだ。特に23年10月31日~11月9日は10日で3件が発生。県や村は22年12月と23年11月、それぞれ原電を厳重注意して「組織風土を含めて見直す必要がある」と改善を求めていた。
原電は24年12月、新たに責任者を置き、防火に関する活動を全社間で連携するとした再発防止策を発表。その矢先に発生した中央制御室の火災に、大井川和彦知事は「意識の緩みが中央制御室の火災につながっている」と厳重注意の文書を村松社長に直接手渡した。
県と同様に厳重注意をした山田村長は「今後どういう体制で安全管理を徹底するか(原電に)答えてほしい」と強調。再稼働については「信頼される会社として評価されるための姿勢や努力が、どう示されるかに懸かっている」と述べた。