地域の味「100年フード」に 霞ケ浦北浦の魚介類食文化 文化庁認定 佃煮や煮干し 茨城

文化庁は14日、地域に根付く食文化をたたえる「100年フード」に、茨城県の「霞ケ浦北浦の魚介類食文化」を認定したと発表した。江戸時代から続く製造技術を継承し、地域の水産資源を佃煮(つくだに)や煮干しなどに加工。伝統の味として広く親しまれている点が評価された。
霞ケ浦名産の水産加工品を製造する「霞ケ浦北浦水産加工業協同組合」が認定団体となる。
100年フードは、地域の風土や風習の中で育まれ、世代を超えて継承される食文化を掘り起こそうと、文化庁が2021年度に創設した。郷土料理やB級グルメが対象で、認定は4回目。
24年度は全国から64件の応募があり、うち49件を認定した。江戸時代から伝わる「伝統」、明治・大正に生まれた「近代」、今後100年の継承を目指す「未来」の3部門に分かれ、「霞ケ浦北浦-」は伝統部門で選ばれた。
霞ケ浦北浦周辺は古くから豊かな水産資源に恵まれ、漁業と水産加工業が発展してきた。中でも「焼ワカサギ」は将軍家の献上品としても知られる。
明治時代に佃煮の製造技術が導入され、シラウオやワカサギ、テナガエビなどを各店舗独自の「もとダレ」を使って加工。保存性が高く、軍事食料としても活用された。食生活が変化する中で、伝統的な食文化として現在も受け継がれている。
同組合の小沼和幸組合長(51)は「霞ケ浦北浦の食文化をたくさんの人に知ってもらい、次の100年に向けて継承していきたい」と語った。