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茨城県内書店 続く模索 新刊取り扱い店減少で 音声ガイド、併設型コンビニ

イヤホンから七海ひろきさんの声が流れ、声と一緒に約30分間店内を巡る様子を説明する阿部大輔店長=水戸市宮町
イヤホンから七海ひろきさんの声が流れ、声と一緒に約30分間店内を巡る様子を説明する阿部大輔店長=水戸市宮町
絵本やコミックなど、さまざまな種類が取り扱われる書籍コーナー=守谷市中央4丁目の「ローソンTXアベニュー守谷店」
絵本やコミックなど、さまざまな種類が取り扱われる書籍コーナー=守谷市中央4丁目の「ローソンTXアベニュー守谷店」


インターネットの競合などで、新刊を取り扱う茨城県内の書店が減少傾向にある。出版文化産業振興財団(東京)によると、書店が1店もない「無書店」は同県内で6自治体に上る。一方で「時代に合わせた店づくりが必要」と、書店も地域ゆかりの俳優とタイアップした音声案内を行うなど挑戦を重ねる。コンビニの書店併設型店舗も登場し、変化した購買層のニーズを捉えようと模索が続く。

同財団によると、2022年の調査開始からの約2年間で全国で754店が姿を消した。24年に発表した「無書店自治体」の調査では、県内で1店も本屋がない自治体は、かすみがうら、つくばみらい、小美玉、美浦、河内、五霞の6市町村となっている。

「まちの本屋さん」が加盟する県書店商業組合(同県水戸市)によると、22年度に79店だった加盟店数は、23年度に75店、24年度は72店と、減少傾向が続く。

こうした状況の中、県内の書店では、店舗に足を運んでもらおうと、さまざまな工夫を凝らす。書店チェーンの「ブックエース」(水戸市)は、川又書店エクセル店で、スマホを活用した音声案内の企画「ボイスフレンド」を2月から実施し、好評を得ている。同市出身の俳優、七海ひろきさんの「声」のガイドにより、書店と県内の観光地などを巡る。すでに七海さんのファンなど、県内外から約270人(同月末)が利用したという。

ボイスフレンドは、好きな「声」と一緒に、体験を共有できる。日本出版販売(東京)と連携し、ブックエースとして初めて同店で実施した。

同店によると、企画を始めた2月の売り上げは前年同月比で8%増加。阿部大輔店長(43)は「ボイスフレンドの効果はかなり大きい。県内を観光するきっかけにもなっている」と効果を話す。今月末まで続けるという。

奥野康作社長(53)は、書籍販売はネットと競合していることを指摘した上で、企画について「差別化を図る一つの方法。書店だけでなく、茨城の魅力を知って、有意義な旅にしてほしい」と期待した。

県内で書籍併設型のコンビニも増えている。大手コンビニのローソン(東京)は今年1月、書店併設型店舗ブランド「LAWSON マチの本屋さん」として、同県守谷市中央4丁目に「ローソンTXアベニュー守谷店」を開店した。出版取次大手、トーハン(同)と連携した。同ブランドは「ローソン日立駅前店」に続き、県内2店舗目だ。

取り扱う冊数は児童書やコミックなど約3千種。ローソンのエンタテインメントカンパニーマーチャンダイザー、日下部昇平さんは「駅が近いので、世代を問わず、携帯しやすいものを意識した」と、力点を絞った品ぞろえについて説明した。

新刊本を手に取っていた、同市、自営業、男性(45)は「(書店の)形として面白い。近所に本屋がないので助かる」と喜んでいた。

店舗を実際に訪れて商品を購入する楽しさを、どうアピールしていくか、挑戦は続く。県書店商業組合は「(県内書店を)今後、どう盛り上げていくか考えていきたい」とした。



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