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プラズマ状態AI予測 量研機構とNTT 核融合、制御に道

AIでプラズマを予測する手法を開発したことを発表した量子科学技術研究開発機構とNTTの関係者=那珂市向山
AIでプラズマを予測する手法を開発したことを発表した量子科学技術研究開発機構とNTTの関係者=那珂市向山


量子科学技術研究開発機構(量研機構)とNTT(東京)は17日、核融合発電に必要な高温のプラズマの状態を人工知能(AI)で高精度に予測する手法を開発し、再現に成功したと発表した。プラズマを安定させ続け、制御する技術の確立を目指す。

両社は2020年11月、核融合エネルギー実現などを目指して連携協力協定を締結している。

現在、研究開発が進むのは、ドーナツ形の容器内に強力な磁場をつくってプラズマを閉じ込め、軽い原子核同士が衝突して重い原子核になる核融合反応を起こす「トカマク方式」。プラズマを維持して反応を持続させることで、発生するエネルギーを熱に変え、発電に利用できる。

新手法では、プラズマ外部にあるセンサーからの情報を複数のAIを組み合わせて分析し、プラズマの位置や形状を予測させる。トカマク方式を用いる茨城県那珂市の核融合実験装置「JT60SA」が23年にプラズマを生成した際のデータを検証すると、形を誤差1センチ以内の精度で当てられた。

また、新たにプラズマ内部の電流や圧力の分布をリアルタイムで制御できる見通しが得られたという。

この日、那珂市の量研機構那珂フュージョン科学技術研究所で会見した量研機構の伊藤久義理事は成果を強調し、「連携して研究開発を進めて原型炉を実現し、さらには商用化を目指したい」と述べた。

NTT情報ネットワーク総合研究所の辻ゆかり所長は「プラズマ制御をより確実にできるよう、AIによる予測の技術開発を進める」と力を込めた。

今後はプラズマを操る技術の開発が鍵。JT60SAは26年再稼働の予定で、その際にも今回の成果を検証する。



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