守谷、上昇率1位 茨城県内公示地価 住宅地 東京圏の高騰影響 千葉の供給不足も要因

国土交通省が発表した2025年の公示地価で、茨城県内はつくばエクスプレス(TX)沿線が上昇率の上位を占めた。中でも守谷市は住宅地と商業地がともにトップだった。TX始発駅の好アクセスに加え、東京圏の住宅購入費高騰や隣接する千葉県の土地供給不足の相乗効果で地価を押し上げたとみられる。
住宅地の上昇率は県内上位21番目まで守谷、つくば、つくばみらいのTX沿線3市が占めた。さらに4位まで守谷市が独占し、3位までがTX守谷駅から約1.3キロ圏内だ。
県内の上昇率トップは、住宅地が守谷市百合ケ丘2丁目で上昇率13%、商業地は同駅から100メートルの同市中央4丁目で上昇率11.9%だった。
同駅はTXの始発列車もあり快速列車も止まる。終点の秋葉原駅まで最短32分。市統計によると、15歳以上の就業者の約2割が東京都内に通勤する。
同駅周辺では子育て世帯を中心に人口が増加。市人口は05年のTX開業時から約1万6千人増え、昨年12月に常住人口が7万人を超えた。
百合ケ丘の大部分の子どもたちが通学する市立黒内小学校は近年、児童数が大幅に増え、文部科学省の分類では「過大規模校」に当たる。新年度からは児童数を抑えるため、一部の児童が周辺2小学校にスクールバスで通学する特例制度も始まる。
地価公示県代表幹事の不動産鑑定士、羽場睦夫さんは「守谷は住環境が良好で自然災害も発生しにくい」と同地の特長を評価。加えて市街化区域は同駅の東西約3キロ、南北約1.5キロにおおむね収まるとし、「市街化区域の範囲は大変狭く、需要は高いのに新規住宅の供給は細っている。地価が上がる要因しか見当たらない」と分析する。
最近では同駅から離れた地区でも住宅を求める動きが見られるという。住宅地で県内上昇率4位の同市けやき台5丁目は、最寄り駅の関東鉄道常総線南守谷駅から約1キロに位置する。
羽場さんは「東京都心通勤者にとって守谷市の住宅地が極めて魅力的に見える」と指摘。東京圏は住宅購入費の高騰が続き、TX沿線で守谷市に隣接する千葉県の柏、流山両市で土地供給の余力は非常に小さくなっているという。今後の同市の地価については「東京圏からどれだけの人が入って来るかに影響されそうだ」と推測した。