補助装置の男児 心臓移植 筑波大付属病院で3年間待ち続け 昨年、東大病院で成功


筑波大付属病院(茨城県つくば市天久保)で3年余りにわたって心臓移植を待ち続けた10代の男児が昨年、東京大医学部付属病院(東京)で移植手術に成功した。男児は心臓から血液を送り出す心室が一つしかない「単心室症候群」で、筑波大付属病院で体外式の補助人工心臓を付ける手術を受け、ドナー(臓器提供者)を待ち続けた。同大によると、単心室症候群の患者が人工心臓を経て移植手術を受けるのは国内2例目で、3年の待機期間も世界的に見て長いという。男児はその後、順調に回復している。
同大が20日までに発表した。同大によると、単心室症候群は先天性の心疾患。男児は単心室症から心臓の動きが悪くなる重症心不全に陥り、同大付属病院にヘリコプターで搬送され、小児用補助人工心臓の装着手術を受けた。
補助人工心臓は、心臓から血液をポンプで送り出す装置で、取り付けるには高度な技術が必要。同大は米国の大学に助言を得るなどして手術を成功させた。
ドナーを待つ入院期間は医師や看護師、専門的な知識を持ったスタッフらで連携体制を構築。感染症対策をはじめ、脳出血や脳梗塞を防ぐための薬剤投与など、綿密な治療とケアを実施した。男児も補助装置を付けたままリハビリなどに取り組んだ。
この間、家族はつきっきりで男児をサポートし、移植を待った。自宅が病院から離れた場所だったため、休憩用の部屋を地元の不動産会社「一誠商事」(つくば市)が安価で提供。男児は東大病院での心臓移植手術を経て、現在は自宅で過ごしているという。
筑波大によると、補助装置を付けた待機中に感染症などの合併症によって亡くなる例もある。
記者会見で平松祐司病院長は「薄氷を踏むような医療を3年間続けた。生半可な管理ではうまくいかない。医療スタッフの高い技術力と連携があったからこそ」と説明。使用できる小児用補助装置が国内にわずか22台しかない現状についても触れ、「より多くの小児患者が治療を受けられる環境整備が急務」と指摘した。
男児の家族は「尊い命を託してくれたドナーの方と家族に深く感謝し、その思いを大切にしながら息子と共に歩んでいきたい」とのメッセージを寄せた。