地域振興へ先行5億円 産廃処分場 茨城県側、日立市に

茨城県日立市諏訪町で建設が進む県関与の産業廃棄物最終処分場を巡り、事業主体の県環境保全事業団が市に対し、地域振興事業の財源として5億円を先行拠出することが21日、分かった。総額24億円の交付金のうち、残る19億円は埋め立て実績量に応じて拠出する。市は先行分を活用し、処分場の完成を待たずに2025年度から地域振興事業に着手する。
同日開かれた市議会新産業廃棄物最終処分場整備調査特別委員会で、市担当者が、県が出資する事業団と市との間で「地域振興事業交付金」に関する覚書を結んだことを説明した。締結は1月14日付。
新処分場は埋め立て容量が約240万立方メートルで、埋め立て期間は20~23年間。26年度末の供用開始を目指しており、市が実施する地域振興事業の財源として事業団が24億円拠出することになっていた。
覚書では、事業団が払う交付金について「先行」と「例年」の二つの拠出方法を明記した。先行分は24、25年度に2億5000万円ずつ、計5億円を拠出する。市は周辺の生活環境の保全や地域振興に活用するため、交付金の受け皿として「市未来地域振興基金」を設置する。
これまで市は、周辺住民に対して地域振興事業の効果を早期に示せるよう、事業団側に先行拠出を求めていた。現行施設の「エコフロンティアかさま」(同県笠間市)の場合、地域振興費の総額は日立と同じだが、埋め立て実績に応じた拠出方法のみだった。
日立でも先行分を除く例年拠出の19億円は、かさまと同様、処分場の供用開始翌年度から埋め立て完了までの間、実績に応じて毎年度、市からの請求に基づいて払われる。
市によると、交付金は建設地周辺4学区(諏訪、大久保、油縄子、成沢)の地域振興と、市全体の地域振興につながる事業に活用する。4学区では諏訪梅林公園の改修、かみすわ山荘と周辺の一体整備、大平田地区の交通安全対策、上下水道の整備、集会所の改修などを予定する。
地元からの要望のうち、処分場建設の影響が最も大きい諏訪学区の大平田地区と北の沢地区の要望を最優先する。次いで地域資源を生かした地域活性化事業や、県が新設する搬入道路の沿道周辺対策も先行して取り組む。