茨城県勢V争い 大相撲ファン熱視線 高安「今度こそ悲願を」 大の里「横綱見えてくる」

茨城県勢力士2人がリードする優勝争いに熱い視線が注がれている-。22日に大阪のエディオンアリーナ大阪で行われた大相撲春場所14日目。悲願の初優勝を狙う元大関の平幕高安(同県土浦市出身)と、二所ノ関部屋(同県阿見町)の大関大の里が千秋楽を前に11勝3敗の首位で並んだ。県勢同士で、しかも二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の弟弟子とまな弟子。「どちらにも頑張ってほしい」。ファンたちの胸が高鳴る。
35歳のベテラン高安はこれまで何度も目前で優勝を逃してきただけに、ファンの「今度こそ」の思いは強い。22日、土浦市役所で開かれたパブリックビューイング(PV)には市民らが集まり、画面越しに応援。平幕美ノ海に3敗目を喫するも「気持ちを切り替えて明日だ」と声が上がった。
高安土浦後援会幹事長の関和郎さん(72)は「少し表情が硬かった。(千秋楽は)頑張ってほしい」、「高安Tシャツ」を着て応援した土浦一中3年の山崎龍希さん(15)は「小さい頃から高安を見てきた。(15日目は)やってくれる」と期待を込めた。高安を入門時から知る元関取若筑波で土浦市内でちゃんこ屋を営む田中茂さん(68)は「35歳で優勝争いはすごい。千秋楽で勝ってほしい」と語った。
大関昇進後初の賜杯を狙う大の里はこの日関脇大栄翔を押し出し、単独首位だった高安に並んだ。全取組終了後、会場前には「大の里」タオルを掲げるファンの姿があった。長年のファンの男性は「大の里の取組は元気がもらえる。優勝して」と語った。
地元ファンも期待を寄せる。綱取りの足掛かりとなるからだ。土浦市内のそば店女将(おかみ)、大谷満子さん(71)は二所ノ関部屋の支援者。「優勝すれば横綱が見えてくる。とにかく全力で頑張ってほしい」とエールを送る。二所ノ関部屋の朝稽古見学に行ったことがある宇都木康予さん(72)は「目力が出てきて、気合の入り方が優勝する前とは違う」と印象を語り、「ぜひ優勝して、次は横綱を目指して」と話した。
高安か大の里か。県内ファンはどちらを応援するか悩ましいところ。土浦市のPVに参加した同県つくば市の小平薫さん(60)は二所ノ関部屋後援会にも所属しており「2人とも応援している。頑張って」とエール。娘のるなさん(29)も「千秋楽は楽しみ」と語った。
「どちらが勝ってもうれしいし、複雑だ」と話すのは、東洋大牛久高相撲部の山本紳童監督(36)。4敗力士たちも虎視眈々(たんたん)と逆転優勝を狙っているが、千秋楽の2人の勝利を祈りながら、「ベテラン高安の意地か、新星大の里の勢いか。ぜひ、2人による決定戦が見たい」と期待を寄せた。