男児不搬送「過失なし」 第三者委 つくば市長に報告書 茨城

茨城県つくば市消防本部の救急隊が2023年4月、救急要請を受けた当時3歳の男児を「搬送不必要」と判断して病院に運ばず、男児に重度の障害が残った事案について、市が設置した第三者委員会は26日、救急隊の過失はなかったとする報告書を五十嵐立青市長に提出した。
市や関係者によると、23年4月16日午前0時50分ごろ、男児が40度以上の発熱で、けいれんを起こしたため、母親が119番通報した。同1時に救急車が到着したが、隊員は「震えはけいれんではなく発熱や寒さからくるもので、救急搬送は必要ない」と判断し、家族で病院に連れて行くよう説明した。家族は同1時半ごろ、自家用車で男児を病院に運んだが、「けいれん重積型急性脳症」と診断され、重い障害が残った。
第三者委は弁護士と医師の計3人で構成。昨年3月から7回の会合を行い、隊員が作成した当時の記録を、県の救急搬送基準と照らし合わせる形で過失の有無を検証した。
救急隊の記録には当時の男児の意識レベルや顔色、呼吸数などが記載されており、記者会見した第三者委の委員長、関健太郎弁護士は「県の観察基準に当てはめると、救急搬送が必要とされる状態にあったとまでは認定ができない」と説明。救急隊の過失はなかったと結論付けた。
ただ、隊員が当時、脈拍数や体温、血圧を測るような観察をしていなかったことから、報告書では測定することが望ましいとした。
男児の祖父は茨城新聞の取材に「元気だった孫が話もできなくなった。食事も一人でできない」と現状を語り、「あの時、搬送してもらえてたら、障害が残らなかったかもしれない。今回の検証結果には納得できない」と話した。