茨城・神栖2人死傷爆発 予見可能性に疑義 東京高裁判決 審理差し戻し
茨城県神栖市東深芝の合成樹脂製造会社「DIC EP」鹿島工場で2018年9月、工事中に可燃物の貯蔵タンクが爆発し配管工2人が死傷した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われた当時の現場監督で工事委託先社員の男性(36)=神栖市=の控訴審判決で、東京高裁(伊藤雅人裁判長)は1日までに、禁錮1年6月、執行猶予3年とした一審水戸地裁判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。事故の予見可能性について、一審判決は不合理な認定をしたと判断した。
判決などによると、18年9月6日、工場の屋外にある可燃性物質「パラジクロロベンゼン」の円柱型貯蔵タンク上で、屋根部分の配管補修中にタンクが爆発。作業していた男性1人が死亡、1人が重傷を負った。当時、タンク内には火災防止のための窒素が十分に充塡(じゅうてん)されていなかった。
24年2月の一審判決は、被告人が工場側に溶接作業を行うと明確に伝えていれば、作業の中止が命令されるなどして事故を防げていた可能性があったと認定。弁護側が控訴していた。
控訴審判決で伊藤裁判長は、工場側から被告人に対して熱を加えることの危険性や理由、具体的な作業方法について「説明や指示がされた様子はうかがわれない」と述べた。工場側の関係者を巡っては火花が出る溶接作業を行うと知りながら了承した可能性があり、その場合は自身が責任が問われる立場にあったと指摘した。
被告人らの作業について「了承していなかった」などと虚偽の供述をした可能性もあり、「工場側において必要な措置を取らなかったために事故が発生した疑いがあることになる」として、差し戻して審理を尽くすよう求めた。