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デブリ除去に課題山積 福島第1 試験採取で分析 茨城

報道陣に公開された、容器に入ったデブリ=2月20日、大洗町成田町の日本原子力研究開発機構大洗原子力工学研究所
報道陣に公開された、容器に入ったデブリ=2月20日、大洗町成田町の日本原子力研究開発機構大洗原子力工学研究所


東京電力福島第1原発の2号機から試験採取された溶融核燃料(デブリ)の分析が茨城県内外の5研究施設で進む。極めて強い放射線を出すデブリは1~3号機に推計880トン。本格的な取り出しは廃炉の「本丸」だが、デブリの全貌はつかめず技術的な課題が山積する。世論も廃炉計画の実効性を疑問視する中、政府や東電は今後も試験採取や分析を続け、安全に取り出す手法の確立を目指す。

茨城県大洗町成田町の日本原子力研究開発機構(原子力機構)大洗原子力工学研究所に搬入されたデブリが2月、報道陣に初めて公開された。放射線を遮断した室内でマニュピレーターがつかんだ容器が二つ。中には光沢を放つ大きさ約2ミリの塊と微少な粒がそれぞれ確認できた。

デブリは昨年11月に搬入された。大きさ約5ミリ、重さ約0.7グラム。昨年末までに同研究所で表面の元素分布などを調べる「非破壊分析」が終了し、今年1月までにデブリを砕いて分配。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)など5施設で半年から1年程度分析する。

非破壊分析で核燃料に由来するウランを確認。原子炉の構造材料である鉄やニッケル、核燃料を覆う管の材料となるジルコニウムを検出した。原子力機構の荻野英樹技術主席は「分析は順調に進んでいる」と話す。


政府と東電は2041~51年の廃炉完了を計画し、廃炉に至るまでの工程を3段階に分けた。第1期は4号機の使用済み核燃料プールから燃料の取り出しを始めた13年11月に完了。第2期はデブリの試験採取に着手した24年9月に終えた。この段階で当初の予定より3年の遅れが出ている。

第3期は1~3号機のデブリを全て取り出す予定。だが、本格的に取り出すための工法は未定で、放射線量が極めて高い環境での作業が求められる。

工程が進む一方、廃炉計画に対する世論の見方は厳しい。茨城新聞社加盟の日本世論調査会が3月8日に発表した調査結果によると、回答者の6割がデブリの安全な処分への疑念を理由に廃炉を「できると思わない」と答えた。


デブリは各号機で形状や堆積範囲が異なり、性質や状態など未解明な点が多い。このため、全量を取り出す方法や安全対策を確立させるには、さらなるサンプルの確保と分析が必要になる。

東電は4月、再び2号機からの試験採取に着手する方針だ。1回目と同様に「テレスコ式」と呼ばれる釣りざお形の装置を使い、最大3グラムの採取を目指す。取り出された場合、茨城県に搬入されるかどうかは決まっていないという。

東電の担当者は「足元の作業を一つ一つ積み上げ、廃炉を進める」とし、計画に変更がないことを強調する。原子力機構大洗原子力工学研究所の前田宏治燃料材料開発部長は「大きなデブリを取り出す際の安全確保の技術に役立てたい」とし、今後の分析結果に大きな期待を寄せる。



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