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米相互関税 茨城県内企業 驚きや困惑 輸出先の変更検討も

米国に輸出される予定の建設機械=龍ケ崎市庄兵衛新田町
米国に輸出される予定の建設機械=龍ケ崎市庄兵衛新田町


トランプ米大統領が「相互関税」の導入を発表したことを受け、輸出関連の茨城県内企業や団体などからは3日、懸念や困惑の声が上がった。一部の県内経済団体は「中小事業者には死活問題」と強調し、県は「政府の動向を注視したい」と警戒を強めている。

県内企業・団体には驚きや困惑が広がる。建設機械メーカー「諸岡」(龍ケ崎市)は、米国に自社工場を構え、主力の運搬車に加えて米国で需要のある特殊車両を製造。ただ円安の影響もあり、2~3年ほど前から主力製品の8割を日本での製造に移し、輸出する形に移行していた。同社の諸岡昇社長(56)は「関税率が想定以上。社内で日本を含め他国での販売を強化していくなどの話も出ている」と明かした。

機械部品加工業の「飯村精機製作所」(土浦市)の飯村智社長(50)は「どれぐらい影響が出るのか分からない。情報が下りてきていない」と困惑。精密部品の試作加工を手がける「西野精器製作所」(ひたちなか市)の担当者は「施策が急に変わる可能性もある。様子を見ながら対策を考えたい」と語った。

コメの輸出や卸売りを手がける「百笑市場」(下妻市)の長谷川有朋社長は「大きな影響はない状況だが今後、バイヤーとも連絡を取り情報収集したい」とコメント。

県常陸牛振興協会(茨城町)は、県内で米国向けに常陸牛を年間約1トン弱を輸出しているといい「対象になれば輸出先の変更も考えたい」とした。

米国関税措置に関する無料相談窓口を設置する、日本貿易振興機構茨城貿易情報センター(水戸市、ジェトロ茨城)には「どの品目が対象か」「必要書類の追加はあるか」など、製造業者からの相談が多く寄せられている。

■茨城県 港湾利用の影響警戒

茨城県内港湾が米国向け自動車輸出の拠点として果たす役割は大きく、県は「企業の情報収集や政府の動向を注視したい」と、追加関税による影響に警戒を強める。2023年の鹿島港や茨城港(日立・常陸那珂港区)など県内港湾からの米国向け輸出額は、自動車を中心に1兆136億5000万円に上り、全体の41.2%を占める。

横浜税関鹿島税関支署によると、23年に鹿島港、茨城港、つくば出張所を経由した輸出額は2兆4612億5400万円で、輸出先は米国が最も高い割合を占める。米国向け輸出品目のうち最多は自動車の8383億7800万円で、建設・鉱山用機械1200億3800万円と続く。

常陸那珂港区では、スバルが北米向けに自動車を輸出するほか、臨港地区には建設機械メーカーの日立建機やコマツが立地し同港区を輸出拠点に位置付ける。日立港区でも日産自動車が北米向けに輸出している。

県港湾課は「現段階で先行きは見通せない」としつつ、「追加関税により(米国内での)販売価格に影響が出る可能性は高い。情報収集を進めたい」などと、今後の港湾利用への影響を懸念した。

■経済団体 中小向け支援を

茨城県内の経済団体からは地方経済への影響を懸念する声や中小・小規模事業者向け支援策の要望が上がった。

県商工会議所連合会の内藤学会長は、特に自動車の関税に対し「関連産業を含め、広範なサプライチェーン(供給網)内の中小企業まで影響が及ぶ恐れがある」と指摘。県中小企業団体中央会の阿部真也会長は「変化は常にあるのでチャレンジ精神が必要」とした上で、「国や県などに引き続き、中小企業への支援をお願いしたい」と話した。

県商工会連合会の小川一成会長は「自動車産業は日本にとっての基幹産業。影響は計り知れない。特に中小・小規模事業者には死活問題」とし、「石破首相には、地域経済への影響を徹底的に調査し、速やかに対策に取り組んでいただきたい」と求めた。

■常陽産研・尾家氏 「最悪に近い内容」

常陽産業研究所(茨城県水戸市)の尾家啓之チーフエコノミストは「想定される中で、最悪に近い厳しい内容」と評価。県内では建設機器関連を中心に製造業への影響が懸念されるとし、「追加関税をきっかけに、景気が停滞したままインフレが進行する『スタグフレーション』に陥れば、個人消費が萎縮する」と見通した。



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