物価高影響、コメ半減 フードバンク茨城理事長が講演 「食品寄付に協力を」

食品の寄付を受け、必要としている施設や団体に無償で提供しているNPO法人フードバンク茨城(本部・茨城県牛久市)の大野覚理事長が3月24日、同県水戸市南町2丁目の茨城新聞みと・まち・情報館で講演し、物価高の影響に触れ、「寄付が減っている。特にコメは半減。食と命をつなぐ活動がギリギリの状態で、ぜひ協力をお願いしたい」と呼びかけた。
大野理事長は「依然として、食べ物を必要としている生活困窮者は増えている。日本は相対的貧困率が6人に1人の割合で、先進国では最悪。次世代への連鎖も懸念される子どもの貧困は9人に1人で、放置はできない」と指摘した。
フードバンク茨城は夏休み、冬休みなどの長期休暇に、食に困っている子どもがいる世帯へ食を届ける「子ども応援プロジェクト」を展開。企業や生協、農協などの協力を得て、1世帯13キロの食べ物を箱に詰めプレゼントしている。
大野理事長は「中でもコメの寄付はありがたくて、新米の季節に古米の寄付を頂くことが多かったが、今季はコメの値上がりで、寄付がかなり減少。このままだと、贈る量を減らさざるを得ない」とした。
一方で、「食品ロスは国内だけでも年間472万トン。毎日、国民1人当たり1個から2個のおにぎりを捨てているのと同じ重量になっている」と解説。フードバンク茨城が設置協力を呼びかけている食べ物の募金箱「きずなBOX」は、県内218カ所に増えた。
大野理事長は「家庭に眠る食品を集めて生活困窮者支援に活用するフードドライブの取り組みは広がっている」と紹介。「より多くの市民や企業・団体に関わっていただき、やがてフードバンクがなくてもいい持続可能な地域を、皆さんと一緒につくっていきたい」と訴えた。