第25回日立さくらロードレース ゲストランナー、大会彩る




総勢約1万人のランナーが桜並木のトンネルを駆け抜けた茨城県日立市の春の風物詩「さくらロードレース」。国内外の大会で結果を残す三菱重工の井上大仁選手や山下一貴選手ら実力者のほか、ふるさと日立大使でサッカーJ2水戸を長年けん引した本間幸司さんも市民ランナーと交流しながら工都を快走し、大会を彩った。
■三菱重工・井上、山下選手 市民と交流、工都快走 第一線の走り披露
日立市に工場がある三菱重工からは、長崎県を拠点に活動する同社マラソン部の井上大仁選手(32)、山下一貴選手(27)ら3人が参加。第一線で活躍する走りでトップ集団を引っ張ったり、ランナーと交流したりして、大会を盛り上げた。
井上選手は2018年のアジア大会で優勝。25年の東京マラソンでは日本人2位となり、同部のエースとして活躍。山下選手は23年の同マラソンで2時間5分台を記録するなど実力者として期待されている。
「ハーフ」に出場した井上選手は部門優勝したランナーと2人で先頭をけん引。「昨年よりも2分くらい速い」と国内トップ級のスピードを披露した。終了後はゴールで走者を出迎え完走をねぎらったり、ゴール手前から「頑張って」などと声をかけながら並走したりして、交流を楽しんだ。
「10キロ」など計3部門に参加した山下選手は「沿道からの声援や子どもたちの声かけがうれしかった」と笑顔。「親子・ファミリー」の部では人生初のスターターも務め「初めての経験で楽しかった」と大会を振り返った。
大会終了後、2人は同社のブースでランナーとの記念撮影に応じた。今後の目標について2人は「五輪出場」とし、井上選手は「活躍してまた戻ってきたい」、山下選手も「大きなタイトルを取って帰ってきたい」とそれぞれ力を込めた。
■「日立大使」本間さん 初仕事、小学生と疾走
日立市をPRする「ふるさと日立大使」に今月委嘱された、サッカーJ2水戸の元ゴールキーパー、本間幸司さん(47)が6日、大使の初仕事で日立さくらロードレースに参加した。ゲストランナーとして小学生と走ったり、スターターをしたりして活動。多くの人から声をかけられ、抜群の存在感を示した。
本間さんは同市出身で、地元の小中学校を卒業。高校を出てプロの世界に入った。J2水戸に26年在籍し、現在はクラブの対外活動などを担っている。
本間さんはこの日、開会式で日立大使委嘱の紹介を受けた後、1.8キロ(小学5~6年生)の部にゲストで出場。昨年の現役引退後は走る機会が減ったというが、「楽しむのが一番。緊張も楽しんで」と助言した。ゴールすると「がっつり走った。皆速い。貴重な体験になった」と笑った。
会場内では常時、市民やファンから写真撮影を求められ、気さくに応じた。本間さんは大会と地域の祭りが一体となった雰囲気に「これだけ多くの人が来る素晴らしい場。日立の良さを改めて実感した。これまでの経験を通じてスポーツの楽しさを伝えていければ」と期待を込めた。
■日立の山口さん・10キロの部 女性最高齢、80歳完走
5キロ以上の出場者の中で最高齢男女に贈られるゴールド賞に輝いた山口和子さん(80)は10キロの部に出場した。日立市在住で、家族が応援に駆け付ける中、なじみの街中を駆け抜けた。
今も通うスポーツジムでランニングを勧められ、2012年から開始。県内外の大会には年3回ほど、5キロや10キロの部に出場している。大会は「緊張せず楽しく走る」がモットーだ。筋肉トレーニングや水泳もこなして体力を維持する。
気温が上がる中、ゆっくりしたペースを保ち、給水をしっかり取った。それでも7キロ地点から足がつり始めた。「意地でも完走する」と気持ちを奮い立たせ、1時間40分ほどでゴール。想定より遅かったものの、「うれしい」と満面の笑みを見せた。家庭菜園をして食べ物の好き嫌いもないという山口さん。「これからも走り続けたい」と意欲を語った。
■美桜ちゃん家族ら宣誓
選手宣誓の大役を務めたのは日立市在住の新嶋美桜ちゃん(2)家族といとこたち。1万人を超えるランナーの中から大会名にちなんで選ばれた。「美しい桜の下、家族みんなで走れることに感謝し、楽しく元気に全力でフィニッシュすることを誓います」と言葉をつなぎ、力強く選手宣誓した。
この日は父の優太さん(39)、母の幸子さん(38)、姉の菜々美さん(9)、兄の大知さん(6)の家族5人と「一緒なら(宣誓を)やれる」といとこ4人の力も借り一緒にステージに立った。
宣誓に当たり、家族たちは2週間前から自主練習したり、祖母の家に集まって練習したりするなど気合十分。祖母が用意したおそろいのTシャツを着て、堂々と宣言した。
新嶋さん家族はいとこ家族2組と3回目の参加。計14人で1・8キロの「親子・ファミリー」の部に出場した。3家族は一緒に旅行に行く仲で、大会を走るのが恒例になりつつあるという。
優太さんは「一体感がある。絆を大切に走りたい」と意気込んだ。子どもたちは「うまくできた。桜がきれいなので楽しい」と笑顔で声をそろえた。