コロナ緊急事態宣言5年 医療や情報 進む備え 茨城県、危機管理を強化

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が東京や神奈川など7都府県に初の緊急事態を宣言してから7日で5年となった。宣言から9日後には、茨城県を含む全国に対象地域が拡大した。休業要請や外出自粛をはじめとする行動制限のほか、医療現場の逼迫(ひっぱく)などを踏まえ、求められた危機管理。茨城県内では医療機関と連携した病床確保や情報提供の在り方など、次の感染症への備えが進んでいる。
県内の感染者は2020年3月17日に初めて確認され、県内へ緊急事態宣言が発出された同4月16日には累計で120人を超えた。感染はその後も拡大し続け、感染症法の5類へ移行した23年5月までに、流行の波は8回に及んだ。
当初、病院や高齢者施設などで相次いだクラスターは、20年夏の第2波や年末年始にかけての第3波などで飲食店などでも目立つようになった。22年1月に感染力の強いオミクロン株が確認されると、感染者数は爆発的な増加をたどった。
コロナ禍で県内に発令された政府の緊急事態宣言は2回。県も3回にわたる独自の緊急事態宣言発令や対象地域に外出自粛などを求める「感染拡大市町村」指定など手を尽くした。宣言下では、商業施設や遊技場などに休業を要請したほか、飲食店にも時短営業を求め、応じた事業者には協力金を支給するなどの支援も続けた。
一方、県は全国に先駆け、外出自粛や要請解除のための基準を設けた。1日当たりの感染者数や病床稼働数などの各指標を基に4段階のステージに分け、対策を講じる体制を築いた。感染者との接触を通知するアプリ「いばらきアマビエちゃん」も始め、感染拡大の抑え込みを図った。
感染者の増大に伴う医療現場の逼迫は大きな課題となった。教訓を生かし、県は昨年3月、県内の医療機関約千施設と「医療措置協定」を締結。感染症の拡大に備え最大898床の病床確保や発熱外来の設置、自宅療養者への健康観察などを円滑に進める環境を整えた。
医療提供体制と経済活動の両立に向けた取り組みも進めた。今年3月に新たな感染症に対応するための行動計画を改定。県民が求める正確な情報提供や、一時的に供給不足に陥ったマスク、手袋など物資の備蓄、速やかなワクチン接種体制の構築などさまざまな対応策を盛り込んだ。
県疾病対策課はコロナ禍での教訓を生かし「次の新たな感染症発生にも迅速、円滑に対応できるような備えが着実に進んでいる」としている。