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コロナ緊急事態宣言5年 飲食店 QR注文定着 業務削減や満足度向上 茨城

モバイルオーダーのドリンクメニューを見る男性=水戸市宮町
モバイルオーダーのドリンクメニューを見る男性=水戸市宮町


新型コロナウイルスの感染拡大による最初の緊急事態宣言から5年。コロナ禍以降、飲食店で「QRコード注文」の導入が拡大した。来店客が自身のスマートフォンから直接注文するセルフオーダーシステムで、当初は店員と客の非対面による感染防止が主な狙いだった。店にも客にも利点があることからコロナ収束後も定着しており、今後は顧客満足度や収益を向上させる手段として、さらに利用価値が高まりそうだ。

茨城県水戸市宮町の居酒屋「常陸之國もんどころ水戸サウスタワー店」。客がスマホで店のQRコードを読み取り、画面に表示されたメニューから注文するシステムを導入している。店員が注文を取りに行かずに済むことで、店長の松ケ根蓮さんは「人件費が削減でき、サービスレベルの向上にもつながっている」と話す。客は好きなタイミングで注文できるなどのメリットがある。

松ケ根店長によると、モバイルオーダーを導入していない店舗はホールスタッフの勤務時間の約半分が「注文を取る」仕事に時間を割かれる。仮にキッチンを含め従業員10人体制の店は、導入後は2人減らしても問題なく営業できるという。

同店を展開するホリイフードサービス(水戸市、藤田明久社長)は、グループ店の3割に当たる26店舗でスマホによるモバイルオーダーを導入した。客に通信料を負担させないようフリーWi-Fiを備えている。

同グループは2021年12月、新型コロナ対策として初めてQRコード注文を取り入れて以降、業務効率化の効果もあって順次拡大。今後も導入を進める。担当者は「性能をブラッシュアップし、顧客満足度を上げられるようにうまく活用したい」と話す。

リクルート(東京)が昨年、20~69歳の男女を対象に実施した調査では、消費者が外食店でセルフオーダーを利用した経験がある割合は57%で、2021年の26%から大きく増加。今後の利用意向も21年から増加し、48%だった。

利用したい理由としては「自分の都合の良いタイミングでオーダーできるから」が51%、「店員を都度呼ぶことに気が引けるときがあるから」が39%、「待ち時間によるストレスが減るから」が25%。利用したくない理由は「ない」が54%を占めており、消費者に広く受け入れられていることがうかがえる。

■水戸保健所 状況応じ体制強化 相談窓口や検査拡充

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が出された2020年4月、茨城県水戸市は中核市移行と感染拡大が重なった。市保健所は業務開始時から、新たな感染症対策に追われた。

専用相談窓口や検査体制拡充をはじめ、流行株の変遷やワクチン接種など刻一刻と変わる状況に応じて体制を強化。膨らむ事務事業に対応した組織改編を行い、特別対策チーム設置など適正な人員配置に努めた。

コロナ禍を経て、感染症関連の各種計画も見直した。県と連名で感染症予防計画を改定。市独自の実施計画も策定し、毎年「実情に応じたブラッシュアップ」(市保健所)を重ねる。

職員の研修・訓練体制を重視し、「いざというときの即戦力」の育成に力を入れる。初動体制強化や人員確保に向け、コロナ禍の経験を反映した目標値を設定。職員確保策として、流行初期から1カ月間で「最大130人」と定めた。当時、人員不足を招いた看護師や保健師など専門人材の確保では、現職ではない「潜在看護師」らを掘り起こすため、事前登録制度を設けた。

情報共有については「横のつながりを欠いた」(市保健所)教訓を踏まえ、本年度、新たに「市感染症対策連絡会議」を設置する。平常時から関係機関との連携強化を狙いに、医療、福祉、経済など各分野の実務経験者などで構成。「現場の声」を反映させた情報共有体制の確立を図る。

市保健所は「感染症は災害と同じ。常に先を見据えた危機管理体制の構築が求められる」と強調。能登地震の経験から今後の課題として、「感染症と自然災害の『複合災害』を見据えた体制づくりが必要」としている。



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