周知「不十分」5割 救急搬送の「選定療養費」 茨城県医師会調査

緊急性のない救急搬送患者から追加料金の「選定療養費」を徴収する茨城県主導の制度を巡り、県医師会は7日までに、県内の23郡市医師会と制度に参加していない救急告示病院に対する調査の結果をまとめた。県民への制度の周知について「不十分」とする回答が郡市医師会では5割を占め、病院でも3割に上った。県医師会は「今後も県民の理解へ広報活動を進展させる必要がある」と強調した。
同医師会によると、調査は3月13~21日、文書で依頼しネット媒体などによる回収方法を用いて実施。23の郡市医師会は全てが回答し、救急告示病院は対象の52病院のうち33病院が回答した。
県民への周知に関し「不十分」としたのは郡市医師会で52%(12医師会)、救急告示病院で33%(11病院)を占めた。「足りている」との回答はそれぞれ9%(2医師会)と15%(5病院)にとどまった。残りの回答は「どちらともいえない」だった。
不十分とする理由としては「制度を知らない外来患者が多かった」「広告媒体を見る機会がない県民もいる」などが挙がった。制度自体は知っていても、「どのような場合に徴収されるか理解している人は少ない」との指摘もあった。
改善策については、時間をかけて周知を繰り返すべきとし、市町村の広報誌やネット媒体、防災行政無線の活用を要望する声があった。制度に参加していない病院に対し、運用状況の細部まで情報共有するべきとの意見もあった。
このほか、郡市医師会への質問で、制度開始前に懸念された救急車の呼び控えを「把握している」とした回答はなかった。
制度開始から約3カ月間の状況について、県医師会は「現時点で救急車の適正利用に一定の効果はあると考えている」と評価する。一方で制度開始前の周知期間が半年未満と短く、開始後も「(県は)大きな周知活動をしていない」とし、一層の広報活動が必要との見解を示した。
松崎信夫会長は「運用状況についても、医療機関に説明しながら周知を図っていきたい」と述べた。