中国・陝西省と友好覚書 茨城県、パンダ誘致目指す

茨城県が4月中旬、中国陝西(せんせい)省と友好交流に向けた覚書を締結することが7日、関係者への取材で分かった。大井川和彦知事が来週にも現地を訪問し、同省政府と交わす予定。県は2019年からジャイアントパンダの誘致を進めている。生息地の地方政府と関係構築を図ることで、さらなる誘致活動の推進を狙う。
陝西省は中国の中央部に位置し、人口約3956万人。南部の秦嶺山脈にパンダが生息し、保護基地「秦嶺ジャイアントパンダ研究センター」を備える。省都の西安市は中国西北部最大の都市で、現在は運休中にあるものの、春秋航空が茨城空港との定期路線を設定している。
複数の関係者によると、県や県日中友好協会の関係者らが15日から中国を訪問する計画。中国外交部や国際交流の窓口に当たる「中国人民対外友好協会」などを巡り、茨城県へのパンダ誘致をPRする。
18日には大井川知事が陝西省政府を訪れ、県と同省で友好交流に関する覚書を結ぶ予定。秦嶺ジャイアントパンダ研究センターを視察するほか、現地の民間企業と意見交換するなどして交流を図る見通し。
県内では今年10月、民間交流を図る「日中友好交流会議」が日立市で開かれる。県は日中交流の動きが活発化する機会として捉え、陝西省との友好交流を進め、パンダ誘致をさらに加速させたい考えだ。
県は19年2月、かみね動物園(日立市)へのジャイアントパンダ誘致方針を発表。県や日立市、日中友好協会などでつくる「いばらきパンダ誘致推進協議会」を設立したほか、23年からは県日中友好協会が主催する「パンダフェス」を同市で開くなどして機運醸成を図ってきた。
大井川知事が19年11月に訪中した際には、中国人民対外友好協会から陝西省との友好交流について提案を受け、24年7月の呉江浩駐日大使との懇談時にも交流を確認していた。同10月の訪中時も、同動物園の受け入れ体制を説明するなど、パンダ誘致へアピールを重ねてきた。
陝西省との交流については、3月の県議会定例会で小川一成氏(いばらき自民)が代表質問。大井川知事は「陝西省へ早期に訪問し、関係構築を視野に入れた協議を行う」などと答えていた。
★陝西省
中国のほぼ中央に位置する面積20万5800平方キロメートルの省で、人口は3956万人(2022年時点)。京都府や香川、奈良、愛媛の各県などと姉妹都市を結ぶ。中国の主要農産地として数えられるほか、日系企業も多く進出する。歴史的に秦や漢、唐などの政権の首都としても栄え、省都の西安市は中国の古都「長安」に当たる。シルクロードの起点としても知られ、1974年3月には秦始皇帝陵に埋葬された「兵馬俑」が発見されている。