江戸時代の菓子再現 徳川斉昭の料理本参考 水戸で茨城大企画

第9代水戸藩主・徳川斉昭(1800~60年)が残したとされる料理本「食菜録」に記されたお菓子を作る「江戸時代の料理人体験! ごぼうもちをつくろう」が、水戸市国際交流協会(茨城県水戸市備前町)で開かれた。催しは、水戸の中心市街地を舞台に、茨城大の教員や学生が市民らに研究成果などを還元する企画「まちのイバダイ」の一環。参加者は、歴史に埋もれた地域の財産を掘り起こし、現代に生かす取り組みを、作って食べながら実感した。
「医学館」を建てるなど医学に強い関心を寄せていた斉昭。食菜録に残ったレシピの再現と普及に努める「水戸食菜録研究会」によると、斉昭は病気の治療と食事との関係についても関心を持っていたという。食菜録には約300種の料理法が残っており、体によく、作りやすい全国各地の料理がまとめられている。
催しは2日に行われ、市内外から約10人が参加し、「ゴボウもち」作りに挑戦した。ゴボウもちは、煮て軟らかくしたゴボウを細かく刻み、もち米の粉と米粉に混ぜ込んで形を整え、油で揚げる菓子。参加者は中川学園調理技術専門学校の真島伸二統括部長に作り方を学びながら、江戸時代のレシピに倣って調理した。
県立石岡二高3年の立見恒陽さん(17)は、「手軽に作ることができてびっくり。おいしかった」と笑顔を見せた。常磐大高の市村卓司教諭は「実際に作ってみるのは、子どもたちが歴史に興味を持つ入り口になるかもしれない」と話した。
同大は今春、水戸市の中心市街地で教員や学生と市民とが関わる複数のイベントを開催。同研究会は、食のブランド化に関する研究が専門の同大人文社会科学部の荒木雅也教授らが立ち上げた。荒木教授はイベントについて、「社会に直接貢献できる機会になった」と声を弾ませた。
荒木教授によると、食菜録は茨城の歴史にゆかりがあり、ブランド商品に成長する可能性を秘めているといい、「食菜録が地元の人に支持され、外の人にも普及していってほしい。今回がその一歩になれば」と期待を込めた。