手上げ横断意思を 「ハンドサイン運動」 車停止へ茨城県警推進

茨城県警は今春から、信号機のない横断歩道で歩行者が手を上げて横断の意思を示す「ハンドサイン運動」の推進に力を入れる。同様の場所での茨城県の車両停止率は全国ワースト4位と低迷。県警の調査ではサインを示した際の停止率は約9割に達したといい、実践するモデル事業所の選定を進めるなどして方法の周知や定着化を目指す。14日は同県日立市の交差点で、モデル事業所と連携し街頭キャンペーンを行った。
県警交通総務課によると、ハンドサインとは通行車両の運転者に視線で合図を送る「アイコンタクト」と一緒に、手を上げる、振る、かざすなど、自らの手で横断の意思を示す動きのことを言う。
県内では昨年、信号のない横断歩道での交通事故の死傷者数は54人(前年比14人減)に上った。日本自動車連盟(JAF)が同年、制限速度40~60キロの場所などを条件に信号のない横断歩道で通行車両の停止率を調べた結果、茨城県は都道府県別で44番目となる35.2%で、全国平均の53%を大幅に下回った。
同条件で県警が同県水戸市と土浦市の計3カ所で2月に停止率を調べたところ、ハンドサイン「なし」での停止率は44.3%で、「あり」は約2倍の88.3%だった。調査時、停止するドライバーは横断歩道の手前で早めに減速したり、速度を守っていたりするのが特徴だった。同課は「歩行者を守る上で大きな効果が見込める」と期待を寄せる。
同運動推進に向け、本年度からモデル事業所の選定も実施。交通安全運動に理解のある企業などを対象とし、従業員らには手本としてハンドサインの実践に協力を求める。
14日には日立市幸町の交差点で、選定した東京ガスグループと同課、県警日立署が連携し街頭キャンペーンを行った。グループ社員ら6人が、事務所近くの交差点で胸の前に手をかざし横断歩道の前に立つと、気付いた車両は余裕を持って減速し停止していた。
社員の相浦佳穂さん(22)は「小さく手を上げるだけでも止まってくれることに驚いた」と話した。
さらに県警は同運動をアピールする動画を制作し、今月、公式交流サイト(SNS)で公開した。動画では警察官が腕と手の動きをメインに踊る「パラパラ」を披露し、運動への参加を呼びかける。
同課は「事故防止へ地域や職場、学校などで運動を推進したい」と力を込めた。