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障害者芸術・スポーツ支援 茨城県、生きがい創出へ環境整備

茨城県庁=水戸市笠原町
茨城県庁=水戸市笠原町


茨城県は本年度、芸術やスポーツに取り組む障害者の支援に乗り出す。芸術分野では、専門家と連携して制作者と企業を結び付け、主に優れた絵画作品の認知度向上や商品化につなげる。スポーツ分野では、競技者を支える後援企業や練習場所の確保に向けた活動資金を補助する。障害者が活躍できる環境を整え、多くの制作者や競技者の参入を促し、障害者全体の生きがい創出を図る。

県障害福祉課によると、2分野の支援事業を委託する団体をそれぞれ選定する。事業費は芸術分野が500万円、スポーツ分野が330万円。県が各団体の活動にかかる経費を補助する。

芸術分野に関する支援事業の対象は、県内で創作活動を行う障害者。団体が今夏からアートの専門家と連携したワークショップを定期的に開いて制作者を育成し、県内各地の美術館で個展も開く。

団体は並行して県内企業を対象とした勉強会も開催。障害者が制作する作品への理解を浸透させるとともに、専門知識を持つデザイナーを企業に派遣し、商品包装のデザインなど、作品の商品化を目指す。

同課は、障害者の作品が県内で展示される機会が少なく、社会的に評価されにくい現状を課題に挙げつつ、「もっと(社会的に)評価されてよい芸術作品が埋もれている可能性がある」と指摘する。

県内外では、障害者が描いた絵を日本酒の商品ラベルに採用したり、契約した作家の作品を販売したりしている事例がある。同課は支援を受けた障害者が経済的な対価を得られることで、将来の自立につなげたい考え。

スポーツ分野の支援事業では、団体が競技者に代わってスポンサー企業の獲得に向けた営業活動を行う。練習場所や指導者、移動などを援助するサポーターも団体が確保する。

同課によると、障害者スポーツは競技者自身で練習場所を探すことが難しく、移動手段の確保や車いすなどの用具にかかる経費も必要となり、取り組むまでのハードルが高い。

障害者スポーツの環境を整えることで、障害者全体に競技に向かう意欲が広がり、生活の質が上がることが期待される。

同課の担当者は「アーティストやアスリートを取り巻く環境は改善の余地が大きい。(二つの支援)事業により、多くの障害者が芸術やスポーツに取り組む契機となるようにしたい」と話す。



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