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ドクターヘリ出動1万件 茨城県、運航15年 効率推進、安全強化へ

県が導入しているドクターヘリ(朝日航洋提供)
県が導入しているドクターヘリ(朝日航洋提供)


茨城県のドクターヘリ出動件数が2010年の導入開始以降、15年間で1万件を突破したことが16日、県のまとめで分かった。24年度は前年から2割減の742件で、消防からの要請に医師の判断を反映することにより、出動後のキャンセルを抑え運用効率化が進んだ。長崎県・壱岐島沖で発生した医療搬送用ヘリの事故を受け、県は点検などさらなる安全対策強化を図る。

県のドクターヘリは救命率向上などを狙いに10年7月1日に導入。「生命の危険が切迫している」「重症患者で、長時間の搬送が予想される」などの出動基準を設け、消防の要請に伴い、県から委託された朝日航洋(東京)が1台を運航している。

運航時間は原則、午前8時半~午後5時半まで。拠点は週の前半が水戸医療センター(水戸市)、後半が水戸済生会総合病院(同)で、要請から30分以内で県内全域に到着する体制を敷く。ヘリが離着陸する「ランデブーポイント」は、学校や公園など県内約1100カ所設けている。

24年度末までの累計出動件数は1万632件。23年度は903件と過去最多となった一方、出動後に患者の容態が要請基準を満たさないなど、キャンセルされた事例も426件と最多だった。このため、24年度からは消防の要請に対し、ヘリに同乗する「フライトドクター」の判断も反映して出動を決めるなど効率化を進めている。

県内の消防本部別で最も出動件数が多かったのは、ひたちなか・東海広域(ひたちなか市、東海村)の1045件で全体の9.8%。次いで鹿行広域(鉾田市、行方市、潮来市)が1023件、筑西広域(筑西市、桜川市、結城市)が993件。最も少なかったのはつくば市の12件だった。

県境では栃木県や福島県のドクターヘリと相互に連携して運航。県南の一部地域では、県が千葉県のドクターヘリに対して費用を一部負担し、共同で運航している。20年7月には県防災ヘリによる「補完的運航」も始まり、年20~30件の出動実績がある。

長崎県・壱岐島沖で3人が死亡した医療搬送用ヘリの事故を受け、厚生労働省は運航する都道府県などへ安全点検を通知。県は飛行前後や一定の運航時間経過ごとに定める対象機材の点検を徹底するなど、事業者へ安全対策の強化を呼びかけた。

これまでに県ドクターヘリのトラブルはバードストライクにより操縦席の正面窓が割れた1件だけ。県医療政策課は「一人でも多くの患者を救うため安全面対策を徹底し、運航を継続していきたい」と話している。



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