卒アル情報流出 漏えい恐れ 茨城県で新たに9市町村 県立高も 県内全域に影響拡大
宮城県仙台市の印刷会社の工場がサイバー攻撃を受け、各地から受注した2023年度の卒業アルバムの児童生徒や教職員の氏名・写真が漏えいした恐れがある問題で、茨城県内で新たに水戸市など9市町村の公立小中学校も対象になることが16日、茨城新聞の取材で分かった。これまでの自治体の発表を合わせ、県内では少なくとも15市町村の計45校5401人分が対象となる。二次被害は確認されていない。県立高の一部も対象で、県内全域に影響が拡大している。
新たに分かったのは、県央、県南、県北、鹿行の4地域の9市町村計15校1715人分に上る。
県央は水戸市が三中など3中学校448人分、ひたちなか市が佐野小など3小・義務教育学校417人分、茨城町が明光中など小中3校262人分、大洗町が一中79人分。県南は稲敷市が新利根小72人分、美浦村が美浦中など3小中192人分、利根町が利根中111人分。県北地域は日立市の中小路小23人分、鹿行地域は行方市の玉造中111人分だった。
県教育委員会によると、県立高でも対象の学校があった。県内ではこれまで、取手市や古河市など6市町が小中計30校3686人分の漏えい可能性を発表していた。
県央地域の教育関係者は「子どもたちが傷つくようなことがないよう願う。企業は大切な個人情報を扱っていることを自覚し、しっかり対応してほしい」と訴えた。
県内の写真館で構成する県写真館協会によると、昔は印刷所との間でフィルムでやりとりしていたが、現在はデータがほとんど。写真館側で卒業アルバムのレイアウトを作って写真を組み込み、印刷所に発注するのが主流という。
県南地域の学校の卒業アルバムを請け負い、同社に委託していた写真業者は、同社が創業100年超の老舗企業でもあることから、「昔から取引のある写真業者は県内でも多かったはず。同じ所に委託し続けていた方が、仕事の流れが決まっているためやりやすい」と説明。サイバー攻撃の問題を受け「学校などと相談し、委託先を変えることを含めて検討している」と話した。