土浦の保育男児死亡 元園長ら2人書類送検 業過致死疑い 厳重処分の意見 茨城県警

茨城県土浦市の認可外保育施設で2022年7月に生後7カ月の男児が死亡した事故で、県警土浦署と県警捜査1課は18日、当時の園長の男性(75)と、当時勤務中だった保育士の女性(44)の2人を、業務上過失致死の疑いで水戸地検土浦支部に書類送致した。就寝中だった男児を細かく観察せずに放置したことが、うつぶせ寝による窒息死につながったと判断した。
2人の書類送検容疑は、同市の認可外保育施設「ゆうゆう託児園」=事故後に閉鎖=で同年7月29日夜、就寝中の男児が仰向けから自力で寝返りを打ち、鼻や口を布団でふさがれたままになっていることに気付かずに放置し、翌30日午前1時37分、搬送先の病院で窒息により死亡させた疑い。
県警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。同課によると、元園長は「もともと具合が悪かったのではないか」と容疑を否認。保育士の女性は容疑を認め、「細かく見ていればうつぶせ寝にいち早く気付けた。しばらく目を離してしまった。慢心、油断があった。後悔している」などと供述している。
同園は乳幼児を24時間預かる「ベビーホテル」で、男児は同29日夜に登園した。布団に寝かせ、同日午後9時40分ごろ、おむつ交換した際に異常はなかったが、約2時間半後の30日午前0時15分ごろ、保育士がうつぶせ寝の男児の異変に気付いた。この間、園長は外出したり別の部屋で寝たりしていた。保育士も別の部屋で園長の食事を作るなどし、男児を見守っていなかった。
事故後の司法解剖で死因は特定されなかった。その後の捜査で県警は複数の専門医に意見を聴き、窒息死との見方が示されたことや関係者の供述などから、死因はうつぶせ寝による窒息死で、注意義務を怠らなければ事故は防げたと判断した。
同課によると、男児の母親は「園長や保育士には今回の件に真摯(しんし)に向き合い、厳しい処罰を受けてほしい」と話している。
この施設を巡っては事故後、県が有識者らでつくる検証委員会を設置。23年にまとまった報告書では、施設の職員の配置不足が常態化していたことに加え、市の指導監督も不十分だったと指摘された。