備蓄米流通、茨城県内まだ限定的 価格引き下げ不透明 収支改善、担い手増期待も

政府備蓄米の放出が始まったものの、コメの店頭価格は高止まりしている。備蓄米は茨城県内でも一部が店頭に並ぶようになったが、まだ数量が限定的なため、今後も販売価格が下がるかは不透明だ。県内の消費者は「もう少し下がるといい」と様子見。一方で生産者からは「この価格が続けば担い手が増える」といった期待の声も上がる。
「表示はしていないが価格の安さで消費者は分かる」。県央地域の食品スーパーの担当者は備蓄米の店頭価格についてこう話す。
同社は19日から備蓄米を全店で取り扱う。通常の国産米価格は5キロ当たり約4200円で販売しているが、備蓄米の場合、2割近く安い同3500円前後になる予定。ただ大手集荷業者から納品された備蓄米は売り切ったら終了といい、「全体の価格は下がらない」と見通す。
同県水戸市内原の「イオンスタイル水戸内原」。備蓄米の取り扱いは4月初旬から不定期で始まった。米国産と国産をブレンドした独自商品(4キロ、3002円)を週3回仕入れている。売り場には備蓄米と分かる表示をせずに並べている。同店を運営するイオンリテールの広報担当は「先が読めないが、供給網を切らさず、安定供給を維持したい」。
店内で商品を見比べていた市内の70代男性は「(全体的に)1年前より高い。いつ買おうかと(購入)時期を見ている」と様子見を決め込む。「生産に必要な費用もある。適正価格を保ちながら、もう少し下がるといい」と期待する。
一方、生産者からは別の期待の声も上がる。市内でコシヒカリなどを生産する70代男性は、コメ農家が減る現状を挙げながら「この価格が続けば、後継者も増えるのでは」。生産にかかる資機材費が高騰する中、「やっと(収支が)トントンか、利益が出るようになった」と打ち明ける。同県小美玉市内で生産する60代男性も「今までが安すぎた。このくらいの価格でないと継続できない」と漏らす。
備蓄米はこれまで2回の入札で計21万2000トンが落札され、徐々に流通が進むとみられる。農林水産省は追加放出に向けた3回目の入札を23~25日に行う。