御出社例大祭 準備着々と 日立・泉神社 5月3日 実行委「地域にぎわいを」 茨城


奈良時代に編さんされた「常陸国風土記」で湧水地として記録され、茨城県の文化財史跡に指定されている同県日立市水木町の泉神社で5月3日、5年に1度の御出社例大祭が開かれる。前回はコロナ禍で中止となったため10年ぶりの開催となる。みこしやささら舞など100メートルに及ぶ華やかな行列に約250人が参加し、街を巡る。神社総代らでつくる実行委員会は「地域のにぎわいになれば」と準備を進めている。
御出社例大祭は、五穀豊穣(ほうじょう)を祈り開く神事。歴史がありながら神社の火災などで長らく途絶えていたが、2000年に復活。今年で5回目を迎える。前回は準備を進めていたものの、新型コロナウイルスの感染者が増えたためやむなく中止された。
地区の実行委員44人が「地域を挙げた祭礼にしよう」と昨年7月から月1回、会議を開催。一方で、みこしの担ぎ手は不足し、市内外からの応援で補う。委員は退職者らが中心で、運営に関わる若手の後継者育成も課題という。実行委は「やれば達成感や面白みはある。コミュニケーションが活発になる」と語る。
3日は、行列が午前8時に神社を出発。同市水木、大みか両地区を巡り、午後3時過ぎに神社に戻る。猿田彦やささらの舞、稚児行列、みこしが練り歩く。祭礼にちなんだ装飾や古式の衣装に身を包んだ絵巻が見どころとなる。全行程は4キロで、「御旅所」と呼ばれる祈祷(きとう)場所で神事やささら舞の披露がある。
神社総代で実行委員長の瀬谷俊一さん(85)は「地域の安寧を願う由緒ある神社の祭礼。多くの人に見に来てもらえれば」と期待を込めた。
泉神社の創建は紀元前ともされ、境内に清水が湧き出る泉がある。近年はパワースポットとして来訪者が急増し、昨年は年間12万人が訪れた。