《広角レンズ》茨城県内自治体 ごみ袋値上げ 有料化も 燃料・人件費高騰が背景


燃料費や人件費などの高騰を背景に、指定ごみ袋の値上げに踏み切る茨城県内自治体が増えている。潮来市は4月から資源物用ごみ袋の価格を186~107円値上げした。水戸市は来年4月に燃えるごみ、燃えないごみとも価格改定し最大150円値上げする。指定ごみ袋を導入していない古河と坂東、境、五霞の4市町も「有料化」を見据え、来年4月から指定ごみ袋を導入する計画だ。
潮来市は4月から、プラスチック・ビニール類の袋(10枚入り)を63円から170円に、缶・ビン・ペットボトルの袋(同)を84円から270円にそれぞれ値上げした。これら資源物用の指定ごみ袋は20年以上、価格を据え置いてきたが、袋自体の製造コストが上がっていた。この間、市が販売価格との差額を負担してきたという。
■事業費1.2倍
水戸市は来年4月、燃えるごみの袋(45リットル、10枚入り)を現行の300円から450円に改定するなど、ごみの種類や袋の容量によって150~50円値上げする。
近年の燃料費や人件費の高騰などを受け、2028年度のごみ処理事業費を試算したところ、20~23年度の年平均の1.2倍に当たる約36億3000万円に膨らむ見通しとなった。うち家庭ごみは約25億円から約29億3000万円に上ることから、受益者負担の原則に基づき、必要最小限の改定を行うことにした。
環境省などによると、「ごみの有料化」は指定ごみ袋などを通じて市民に処理費用を求めること。茨城新聞の調べでは、県内の20市町村が実施している。水戸市の場合もごみを回収してもらう際に指定の袋やシールが必要で、それらの価格に事業費が含まれる。
指定ごみ袋がない自治体で導入する動きもある。古河と坂東、境、五霞の4市町で構成するさしま環境管理事務組合は来年4月の有料化を見据え、指定ごみ袋を導入する計画。組合が管理するごみ処理施設の改修に伴い、国の交付金を受けるために有料化とプラスチックごみの資源化が必要になる。有料化によってコストが膨らむ処理費に充てるほか、ごみ排出量の抑制や分別を進めたい考え。
■排出抑制
一方、有料化を進めた自治体で指定ごみ袋の価格を下げたケースもある。土浦市は2018年10月に有料化したが、排出量の抑制目標をおおむね達成したため、3年後の21年10月、可燃ごみ袋(45リットル、1組10枚入り)を500円から300円にするなど値下げした。
市の担当者は「有料化や値上げはごみ排出量の減少に効果がある」とする。値下げした後も排出量は減少傾向にあるといい、「分別やごみをなるべく出さない意識醸成につながった」と胸を張る。
現在、指定ごみ袋の値上げを検討している自治体の担当者は「ごみ処理事業を続けていくためには値上げは避けて通れない」とし、「必要性を(市民に)丁寧に説明して納得してもらうことがより重要になってくる」と話した。