流鏑馬復活、参道沸く 大子・下金沢十二所神社 28年ぶり、氏子「感無量」 茨城

下金沢十二所神社(茨城県大子町)の流鏑馬(やぶさめ)神事が20日、28年ぶりに復活した。騎乗した射手が、境内から鳥居を抜ける参道約190メートルで馬を走らせ、途中3カ所の的を目がけて弓を引き絞り、矢を放った。参道沿いは流鏑馬を見ようとする人たちであふれ、的が矢で射抜かれるたびに大きな拍手が湧き起こった。
同神社の流鏑馬は、安土桃山時代の1582(天正10)年から5年に1度、神事として行われてきたと伝わる。かつては地元の家々の農耕馬を使い、当番家の氏子が射手を務めた。しかし時代とともに馬を飼う農家が減り、担い手の高齢化などもあって途絶えていた。
今回、流鏑馬を披露したのは、福島県古殿町の流鏑馬保存会。同神社の氏子らから依頼を受け、演武を披露した。この日の流鏑馬のために、射手3人が約1カ月前から大子町で練習を繰り返し、馬を環境に慣れさせてきて本番に臨んだ。
小平泉会長は「全体の距離や的と的の間隔が短いなど難しい面もあったが、無事終えることができた。来ていただいた方々からの歓声がうれしい」と話した。
間近で演武を見た、同町内の石井彩夏さん(20)は「迫力あってすごかった。またやってもらいたい」と感動した様子だった。
今回、流鏑馬の執行委員長を務めた吉成英男さん(63)は「先人たちが継承してきた流鏑馬を復活させることができ、感無量。先輩たちが準備してきた労苦に涙が出る。次代を担う子どもたちの目にも焼き付いたと思う」と喜んだ。