林野火災、春も注意 2~5月発生、茨城県内65% 乾燥、強風が影響

■県「火気扱い十分に」
茨城県内で2014~23年の10年間に発生した林野火災462件のうち、2~5月の発生が303件で約65%に上ることが22日までに、県への取材で分かった。岩手県大船渡市の大規模山林火災などは2月に起きており、冬場の多発傾向は知られている。一方、3~5月の春も乾燥した風が強く吹く影響で被害が拡大する恐れがあることから、県は「林野火災は一度発生すると消火が困難。火気の取り扱いには十分注意して」と呼びかけている。
県防災・危機管理課によると、県内で14~23年の10年間に発生した林野火災は462件。年間21~66件で推移している。発生件数を月別にみると、3月が最多の103件、次いで2月が87件、4月83件、1月63件、5月30件の順だった。
23年の1年間に県内で起きた林野火災は54件。原因別でみると、枯れ草などの「火種」が25件、囲いのないたき火など「裸火」が15件、「火の粉」が5件、「たばこ・マッチ」4件など。春はハイキングや山菜採りなどで入山・入林する人が増える。火の不始末など人為的要因が火災の危険性を高めるとして、県は枯れ草や落ち葉の近くでたき火をしたり、たばこを投げ捨てたりしないよう呼びかけている。
常総市坂手町では今年2月13日、枯れ草火災が強風にあおられ、火の手が拡大。近くの建物や雑木林に延焼し、鎮火まで約17時間かかった。市は720世帯2043人に避難指示を出した。同日は、県内に強風と乾燥、波浪の注意報が出ていた。岩手県大船渡市の大規模林野火災は同月26日発生。12日後にようやく鎮圧されたが、市の面積の約9%に当たる約2900ヘクタールを焼失した。最大約4600人が避難指示の対象となり、90歳男性1人が死亡。建物被害は210棟に上った。同様の大規模な山林火災は1991年3月に日立市内でも起きている。
県などによると、2~5月は晴天が続くと気温の上昇に伴い山林内も乾燥する。山林内では消防隊の立ち入りや水利状況が限られる。活動は気象の影響を受けやすく、消火活動が難航するケースも少なくない。このため県は入山・入林する際は「乾燥や強風注意報を確認して」と促す。
気象庁によると、乾燥注意報は大気の乾燥により火災・延焼などの危険が大きい条件を予想した場合に発表する。水戸地方気象台も「空気が乾燥し、風の強い日が多い。火の後始末など注意してほしい」と呼びかけている。