正社員採用予定3.9ポイント減 茨城県内企業 6割切る 25年度民間調査
民間調査会社の帝国データバンク水戸支店がまとめた雇用動向に関する茨城県内企業の意識調査によると、2025年度に「正社員の採用予定がある」と回答した企業の割合は前年比3.9ポイント減の57.6%で、新型コロナウイルス禍の21年度以来、4年ぶりで6割を下回った。中小企業は採用意欲があっても経営環境が厳しく、採用を見送るケースが多いという。
正社員の採用予定がある企業の業界別は、24年問題への対応に直面している運輸・倉庫が75.0%で最も高く、建設が65.5%で続いた。
採用人数が増えるとしたのは前年比0.9ポイント減の21.2%。採用形態の内訳は新卒が全体の38.8%、中途が52.1%だった。回答した企業からは「必要な採用人数を確保できない状況が続いている」「日本人の定着が見込めないため、外国人を採用している」といった声が聞かれた。
一方、正社員の採用予定がない企業は同比4.0ポイント増の30.9%。採用意欲は高い状態が続いているが、勢いはやや鈍化している。回答した中小企業からは「大企業との賃金格差により、採用が難しくなっている」「人件費上昇分に見合った収益を確保できない」との声があった。
同支店の1月の調査では、正社員の人手不足を訴える企業の割合が56.1%に上った。1月としてはコロナ禍以降で最高水準を記録。高止まりの状況が続いている。中小企業は採用意欲があっても経営環境が厳しく、賃上げで上昇する人件費をまかなう原資が確保できないため、採用を見送らざるを得ないケースが少なくないという。
採用活動を実施しても十分な賃上げができなかったり、賃上げ幅が小さいため、応募に対して人が集まらず、大企業に条件面で見劣りしたりする状況も多くみられる。
今後の見通しについて、同支店は「人手不足の長期化により中小企業の事業継続に関する判断が一段と厳しさを増す」と予想している。